11日のニューヨーク外為市場で円相場が急上昇し、一時1ドル=157円台半ばをつける場面がありました。政府関係者によると、日本政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入を実施したとのことです。
前日比で4円程度の円高・ドル安場面もあり、6月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回っています。米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ期待が高まったタイミングでの介入となりました。政府・日銀は4月から5月にかけて、総額9.7兆円の円買い・ドル売り介入を実施しています。
12日の東京市場でも円相場は荒い値動きが見られ、午後5時時点では1ドル=159円21~23銭、1ユーロ=173円15~19銭となりました。市場関係者は「歴史的な円安に歯止めがかかるかは不透明」と語っています。
今後は、米国の利下げや日銀の追加利上げのタイミングに関心が集まりそうです。ネット上では、「為替介入は円を流出する為、短期でみたら即効性もあり効果的」「根本を改善するものでは無いので長期的にみたらデメリット」「結局日本が利上げしない限り、円安傾向は継続だと思います」などの意見が寄せられています。
鈴木俊一財務大臣「介入についてはコメントを控える」
鈴木俊一財務大臣は12日の記者会見で、政府・日銀が市場介入に踏み切ったという見方が出ていることに対し、「介入については、有無も含めてコメントは控えるというのが基本的立場だ」と述べました。
一方で、為替水準はファンダメンタルズを反映して市場で決定されるべきだとし、「特に一方的動きには懸念を持っている」と市場の動きについて語りました。
財務省の神田敏郎財務官も、介入の有無については言及を避けつつ、円安の動きは「相当の部分が投機ではないかと考えるのが自然で、それで国民生活が脅かされるとしたら問題」と述べ、市場をけん制しています。
民間の金融仲介会社「東短リサーチ」は、日銀の統計から、政府・日銀が3兆円を超える規模の市場介入を行った可能性があると分析しています。実際の介入の有無は、今月末の財務省の統計で明らかになる見通しです。
為替市場の動向は、日本経済に大きな影響を与えます。政府・日銀の動きと市場の反応から、今後も目が離せない状況が続きそうです。