コンビニ最大手のセブン-イレブンが、店内で焼いたピザを最短20分で宅配するサービスに乗り出しました。7月に東京や神奈川の30店舗で実施したテスト販売が好調だったことを受け、8月からは北海道、九州エリアなどに展開し、全国200店舗へと一気に拡大しました。
セブン-イレブンの宅配ピザの最大の特徴は、注文から届くまでのスピードの速さです。大手宅配ピザチェーンが目安とする30分よりも10分早い20分での配達を実現します。
品揃えはマルゲリータ(780円)と照り焼きチキン(880円)の2種類のみですが、注文に応じて店内のオーブンで焼き上げ、宅配または持ち帰りに対応します。
ピザのメニュー数では大手チェーンに及びませんが、セブン-イレブンならではの強みは、3,000以上のコンビニ商品も一緒に配達できることです。ピザ以外の商品も含めれば、品揃えは大手チェーンの100倍以上とも言える圧倒的な利便性を誇ります。
セブン-イレブンの狙いは、単なる「宅配ピザ店」になることではなく、ピザを呼び水に、店内だけでなく店外での購入を増やすことにあるようです。
ネット上では、「宅配できるような人員が常にいるのだろうか?」「デリバリーは有り難いですよね」「価格帯は安めですが、まだまだピザチェーンの方が美味しいと感じました」などの意見が寄せられています。
アプリ宅配サービス「7NOW」の利用者はタイパ志向だと判明
セブン-イレブンが注力するアプリ宅配サービス「7NOW」。その利用者の38%がタイムパフォーマンス(タイパ)志向であることが、セブンの調査で明らかになりました。近くにコンビニがあっても、そこに行く時間すら惜しむ消費者が増えているのです。
セブン-イレブンは、今後もタイパ志向が高まると予測し、顧客囲い込みのための起爆剤として宅配ピザに着目。高単価のピザは7NOWの利用促進だけでなく、新たな売上増にも繋がる商品として期待されています。
ピザ協議会の「ピザマーケット推計値」によると、2022年度のピザ市場規模は3,278億円と過去最高を記録しました。コロナ禍の巣ごもり需要や東京オリンピックなどが追い風となり、伸び盛りの市場となっています。
一方、ピザ宅配チェーン店の店舗数は2極化の傾向にあります。大手チェーンが店舗数を伸ばす中、地方のローカルチェーンは伸び悩んでいるのです。最大手のドミノ・ピザは、2033年までに2,000店舗体制を目指すと発表しています。
セブン-イレブンの宅配ピザ参入は、成長市場でのシェア獲得と、7NOWの利用拡大という2つの狙いがあるようです。コンビニ業界の新たな戦略に注目が集まります。