エミー賞を総なめにした時代劇『SHOGUN 将軍』 日本人キャストが快挙の裏側を語る

エミー賞を総なめにした日本を舞台とする時代劇『SHOGUN 将軍』。その快挙の裏には、日本人キャストたちの並々ならぬ努力と、ハリウッドの本気度が隠されていました。

主演・プロデューサーを務めた真田広之氏は、「オーセンティックにこだわった」と語ります。真田広之氏が演じたのは戦国時代を終わらせた徳川家康であり、「皆さんが思うSAMURAIとは違う」と、これまでのハリウッド映画との違いを強調しました。

撮影現場に足を踏み入れた俳優たちは、その本格的なセットに圧倒されたと口を揃えます。織田信長役の尾崎英二郎氏は、「実際にセットに入った時は、大坂城の大広間とか、ふすま絵とか、つくりが素晴らしい。ハリウッドが本気を出すと、ここまでのつくりになるんだと圧倒された」と振り返ります。

衣装のデザインも特筆すべきポイントです。尾崎英二郎氏は、「メインキャストの衣装は本当に丹念につくられている」と称賛しました。

『SHOGUN』は、戦国時代の理不尽さに耐える女性や下級武士の姿を描くことで、これまでの時代劇とは一線を画しています。「世界の方が見ても理解できる普遍的なものだから」と、尾崎英二郎氏は語りました。

日本が誇る時代劇が、ついにハリウッドの頂点に立った瞬間。その舞台裏には、日本人スタッフの熱意と、本物を追求するハリウッドの姿勢がありました。

真田広之氏、授賞式のスピーチをあえて日本語で実施

真田広之氏は、授賞式のスピーチをあえて日本語で行いました。「これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての方々、監督や諸先生方に心より御礼を申し上げます」と、日本の時代劇界への感謝を表明しました。

本作の画期的な点は、台詞の7割を日本語で展開したことです。英語から日本語への翻訳、時代劇の言い回しへの変換、英語字幕の付与という手間を惜しまず、オーセンティックさを追求したのです。

真田広之氏は「日本語のセリフで字幕が出て、それを興味深くみていただき、理解していただき、この結果につながった。今後、全ての外国語作品、クルー、俳優陣への可能性が広がった」と、今回の挑戦の意義を力説しました。

真田広之氏が主演とプロデューサーを務めた『SHOGUN 将軍』は、第76回エミー賞で前人未到の快挙を成し遂げました。主要部門を含む23部門25ノミネートを獲得し、授賞式前の「クリエイティブ・アーツ・エミー賞」でも14冠を達成していました。

そして迎えた主要部門の発表では、真田広之氏が主演男優賞、アンナ・サワイ氏が主演女優賞を受賞し、作品賞と監督賞を加えた4冠を追加。合計18もの部門で受賞し、エミー賞史上最多記録を打ち立てたのです。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 2024 TRON Symposium de kouensuru sakamurashi
    2024年12月11日~13日に行われた『2024 TRON Symposium』。坂村健氏が基調講…
  2. 1989年3月、東京都足立区綾瀬で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。17歳の女子高校生が…
  3. 東京地方裁判所は、太陽光発電事業の資金として預かった4億2,000万円を不正に着服したとして、コンサ…

おすすめ記事

  1. 2023-11-6

    運転免許の更新講習がオンライン化 ゴールド免許以外でも利用可能に

    北海道、千葉県、京都府、山口県の4道府県で、運転免許の更新講習が新たにオンラインで可能になった試みが…
  2. 刑務所看護師の仕事内容について東京報道新聞のインタビューを受ける宮城刑務所の看護師現場の実態

    2024-10-29

    刑務所看護師ってどんな仕事?宮城刑務所の看護師に聞く現場の実態

    刑務所内では、受刑者の健康管理を行うために、看護業務を担う刑務所看護師が常駐しています。なかでも宮城…
  3. 東京報道新聞が取材した青森刑務所でムショ飯の献立を考える管理栄養士さん

    2024-1-29

    刑務所の食事ってどんなもの?青森刑務所の管理栄養士に聞く令和の「ムショ飯」

    刑務所の中の食事というと、”臭い飯”というイメージを持っていた人もいるかもしれませんが、最近では「務…

2024年度矯正展まとめ

矯正展の2024年度開催スケジュールまとめ

【結果】コンテスト

東京報道新聞第5回ライティングコンテスト_結果発表

インタビュー

  1. 取材時に撮影したYOSHIの写真
    テレビ番組やYouTubeに出演するタレントで、マジシャンのYOSHIは、芸能事務所・44プロダクシ…
  2. 宮城刑務所の「機能向上作業」の取り組みについて東京報道新聞がインタビューした作業療法士さん
    刑務所での認知機能改善への取り組みとして、現在全国で10人以上の作業療法士が刑務所に常勤し、受刑者の…
  3. 宮城刑務所の矯正医療について東京報道新聞がインタビューした矯正医官(お医者さん)
    服役中の受刑者が体調を崩したり病気にかかったりしたときに診察するのが、刑務所で勤務する医師である「矯…

アーカイブ

ページ上部へ戻る