首都圏で相次ぐ強盗事件や政治家を標的としたテロ事件を受けて、政府は新たな経済対策の中に防犯対策の強化支援を盛り込む方針を固めました。複数の政府・与党関係者が明らかにした情報によると、防犯カメラ設置費用への公費による補助がその柱となるようです。
首都圏では2024年の夏頃から、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の関与が疑われる強盗事件が連続的に発生しています。さらに10月19日には、自民党本部への火炎瓶のようなものの投げ込みや、首相官邸前の柵への車の突入といった事件も起きました。
こうした状況を踏まえ、政府は防犯カメラの増設により監視体制を強化し、治安の改善を図りたい考えです。また、物価高騰の影響を受ける低所得世帯向けの給付金支給なども、今回の経済対策に含まれる見通しです。
石破茂首相は、経済対策の財源となる今年度補正予算について、昨年度の補正予算の歳出規模である13兆1,992億円を上回る規模にする意向を示しているとのことです。国民の安全・安心の確保と経済支援の両立に向けて、政府の動きが注目されます。
ネット上では、「防犯に威力のあるスタンガンを常備する必要もあるのではないかと思う」「政府と大企業が今の日本の状況を招いて貧困化から犯罪増加となるのは必然なわけだが、ここに補助金を出すと…」などの意見が寄せられています。
「匿名・流動型犯罪グループ」、通称「トクリュウ」の実態
2024年8月頃から相次いで14件もの犯行が確認され、当初は貴金属店や質店が狙われていましたが、9月に入ると一般住宅も標的となりました。
横浜市青葉区での事件では被害者が命を奪われ、宝田真月容疑者が強盗殺人の容疑で逮捕されています。千葉県市川市では女性が一時的に連れ去られるなど、犯行の手口は凶悪化の一途をたどっています。
これらの犯行は、SNSで繋がった不特定多数による「匿名・流動型犯罪グループ」、通称「トクリュウ」の犯行とみられています。10月18日には警視庁と神奈川、埼玉、千葉の各県警が合同捜査本部を設置し、親家和仁刑事部長は「日本の警察の総力をあげ、実態解明、首謀者らを一掃する」と強い決意を示しました。
しかし、約300人体制での捜査にもかかわらず、逮捕されたのは実行役や運転手など30人にとどまり、指示役の検挙には至っていないのが現状です。トクリュウによる犯行は、2018年11月から2020年6月にかけての「ルフィ事件」でも60億円を超える被害が出ており、首謀者はフィリピンから特殊詐欺を仕掛け、収監中もスマートフォンで指示を出していたとされます。