日本企業におけるオフィス回帰の動きが加速 対面でのコミュニケーションを重視
日本企業におけるオフィス回帰の動きが加速しています。アマゾンジャパンは2025年1月より原則出社を求め、メルカリも週2日の出社を推奨するなど、対面でのコミュニケーションを重視する姿勢が強くなってきました。
この傾向は海外企業でも顕著で、米アマゾン・ドット・コムは2025年1月から原則週5日出社を社員に求めています。テスラやOpenAIといったテック企業を中心に、米国では出社回帰の機運が高まっているようです。
日本でも、日清食品ホールディングスが2023年末に出社率の上限を60%に引き上げるなど、オフィス重視の方針を打ち出す企業が増加中です。こうした動きに呼応するように、東京都心5区のオフィス平均空室率は8月に4.76%と、2021年1月以来3年7ヶ月ぶりに5%を下回りました。9月も4.61%とさらに低下しています。
企業がオフィス回帰を進める背景には、職場環境の充実が従業員のエンゲージメント向上に繋がるとの期待感があるようです。ザイマックス不動産総合研究所の6月調査では、オフィス施策で「生産性の向上」を重視する企業が68.5%に上りました。
リモートワークの利点を活かしつつ、対面でのコミュニケーションも適切に取り入れることで、企業は生産性と従業員の帰属意識の向上を目指しているのかもしれません。ネット上では、「生産性という観点では確かに出社の方がメリットがあるのかもしれない」「ゼロか百かではなく、ハイブリッドの選択制にしておくべき」などの意見が寄せられています。
サントリーホールディングスが在宅勤務手当を廃止
サントリーホールディングスは、コロナ禍で導入した在宅勤務手当を廃止し、出社を基本とする働き方に舵を切りました。同社は対面でのコミュニケーションを重視する方針を掲げ、この流れに乗る形となっています。
一方で、日本生産性本部の調査によると、7月における企業のテレワーク実施率は16.3%と、1月の過去最低からわずかに上昇しています。富士フイルムやラクスなど、週1〜2日程度の在宅勤務を取り入れる企業も少なくありません。
ニッセイ基礎研究所の佐久間誠主任研究員は、「データ整理など定型業務は在宅勤務に適している。仕事内容に応じた働き方の使い分けが生産性向上には欠かせない」と指摘。さらに、「出社の目的や意義を明確にすることが企業に求められる」とコメントしました。
ポストコロナ時代の働き方は、生産性と従業員満足度のバランスを取りながら、柔軟に進化していくことが求められます。