アプリ外課金制度、国内のゲーム会社12社が導入 アプリの手数料問題

スマートフォンアプリの決済方法に変化の兆しが見え始めています。これまでAppleやGoogleによる寡占状態が続いていましたが、国内のゲーム会社を中心に、アプリ外のWebサイトで課金を行う動きが広がっているのです。

日本経済新聞社が国内のアプリ収入上位30社を調査したところ、バンダイナムコホールディングス、ソニーグループ、コナミグループなど、少なくとも12社がWebでの決済を一部のアプリで導入していることが明らかになりました。

この背景には、6月に成立した「スマホソフトウェア競争促進法」の影響があります。同法は、アプリ配信や決済の外部開放を義務付けるもので、2025年末までに施行される予定です。

Webでの決済は、動画や音楽配信サービスでは以前から見られましたが、ゲーム分野でも新法成立を機に本格的に広がり始めたようです。サイバーエージェントなど複数の企業も、導入を検討中または予定しています。

アプリ内課金の場合、手数料率は30%にもなりますが、Web決済ではわずか3〜5%程度です。仮に100円のアイテムを90円に値下げしても、企業の手元には85〜87円が残ります。

今後、手数料率の低いWeb決済を導入する企業が増えれば、アプリ市場の構造が大きく変わる可能性があります。AppleやGoogleの寡占体制に風穴が開くのか、注目が集まります。

MIXIがゲーム内通貨をクレジットカードで購入できるWebサイトを開設

大手企業のMIXIは、人気ゲーム『モンスターストライク』でゲーム内通貨をクレジットカードで購入できるWebサイトを8月に開設しました。このサイトでは、アプリ内課金と比べて約5%多くの通貨を獲得できるとのことです。

デジタルガレージは、ゲームアプリ企業向けにWeb決済システムの構築サービスを6月に開始しました。手数料率は5%と低く設定されており、すでに複数の企業が合計10のアプリで導入しています。同社の崎島淳一執行役員は、Web決済への移行が進んでいる事例もあると述べました。

AppleとGoogleは、自社の決済システムの優位性を主張する一方で、アプリ事業者が他の手段を提供することの重要性や、消費者の選択肢の必要性についてもコメントしています。

世界のアプリ市場は急成長を遂げており、2023年の消費額は前年比3%増の約26兆円に達しました。その中でもゲームは約6割を占める巨大な分野となっています。

欧米や韓国でもアプリ配信市場の競争促進に向けた取り組みが進められ、海外のゲーム会社でもWeb決済の導入が広がりを見せています。今後、アプリ経済圏における資金の流れに大きな変化が訪れるかもしれません。

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