マグロ漁船で2人が刺され、甲板長が死亡する事件が発生。3日午後11時ごろ、神奈川県三浦市で漁船を所有する「事代(ことしろ)漁業」から、「漁船内で船員が別の船員を刺して1人が死亡し、1人が重傷」という通報が横須賀海上保安部にありました。
第3管区海上保安本部によれば、3日夕方に南米ペルー沖の南太平洋上で操業中のマグロはえ縄漁船「第18事代丸」内にて、インドネシア人の男性機関員(29)が同国籍の男性甲板長(48)と男性機関員(37)の腹を包丁で刺したあと、海へ飛び込んだとされます。
刺された男性甲板長は死亡し、男性機関員は重症とのことです。刺した男の行方は、現時点ではわかっていません。
今回事件が起きた「第18事代丸」は、2022年11月に神奈川県三浦市を出港し、マグロ漁獲のためにペルー沖の南太平洋上で漁をしていました。当時、日本人6人とインドネシア人19人が乗船しており、ほかの乗員に怪我はないとのことです。
ネット上では、「外国人だと思ったが案の定だった」「昔だったら事故扱いされててもおかしくない」「長期間一緒の生活で嫌気が差したのかな?」などの意見があがっています。
2022年3月にはマグロ漁船の炎上事故が発生
2022年3月21日、鹿児島県・種子島の南東約185キロの海上にて、付近を航行していたコンテナ船から「火災船を視認した」という通報がありました。この事件では、日本人2人を含む8人が乗るマグロ漁船が炎上し、3人が救助され、1人の死亡が確認されました。残る4人は行方不明となっています。
事件が発生したのは、高知県須崎市の会社が所有するマグロはえ縄漁船「第51勇仁丸」。乗組員は20〜60代の男性で、日本人2人とインドネシア人6人でした。
そのほか、2019年から2020年にかけて、中国の水産会社「大連遠洋」が運営するマグロ漁船で、10〜20代のインドネシア人の乗組員ら10人が死亡する事件も発生。乗組員には休息やまともな食事が与えられず、病気になっても十分な治療を受けられずに死亡したとのことです。
大連遠洋に船員を派遣した人材会社の社員は、人身売買の罪によりインドネシアの裁判所で有罪判決を受けました。なお、大連遠洋の船が漁獲したマグロの主な行き先は日本だったとされます。
世界中でマグロ漁業による過酷な労働が行われており、なかにはその過酷な労働により命を落とす人までいます。