
日産自動車とホンダの経営統合交渉が決裂の危機に瀕しています。両社は、2024年12月に共同持ち株会社設立による経営統合の検討を開始し、1月末までに方針を決定する予定でしたが、交渉が難航したため期限を2月中旬に延長していました。
しかし、日産は2月3日の会議で「自力再建」の方針を決め、ホンダにその意向を伝えました。5日の取締役会では、経営統合交渉に関する覚書の撤回を了承したとみられています。
また、ホンダが年明け以降の交渉で日産に対し子会社化を打診したことから、日産側は反発していました。6日には両社の社長が会談し、日産の内田社長がホンダの三部社長に経営統合協議の打ち切りを伝えたとのことです。
今後は、EV分野での協業の継続や、交渉の打ち切りと再交渉の可能性などについて議論が行われる見通しです。
かつて日本を代表する自動車メーカーとして君臨していた日産とホンダ。しかし近年は、世界的な自動車業界の変革の波に乗り遅れ、厳しい経営状況に直面しています。
両社の経営統合は、この危機を乗り越えるための打開策として期待されていましたが、その実現は困難な状況となっています。両社の決断が、業界にどのような影響を与えるのか注目が集まります。
日産とホンダの考え方の違いで経営統合が決裂へ
日産とホンダの経営統合交渉が大詰めを迎える中、両社の考え方の違いが浮き彫りになっています。ホンダ主導の統合であることは明白ですが、日産には一定の裁量を与える方向で調整が進められてきました。
しかし、ホンダは日産に対し、リストラの着実な実行と経営再建を強く求めています。日産は北米市場での業績不振と世界的な生産能力の過剰という構造的な問題を抱えており、抜本的な改革なしには再生は難しいとホンダは判断しているのです。
日産は、2024年11月に9,000人の人員削減と生産能力20%カットを柱とする「ターンアラウンド計画」を発表しましたが、ホンダ側はそのスピードに不満を抱いていました。日産社内からは、1999年のカルロス・ゴーン氏による「リバイバルプラン」並みの4万人規模のリストラが必要との声も上がっていたとのことです。
また、日産の生産部門を担当する坂本秀行副社長の案では、中途半端なリストラ策が目立ち、思い切った工場閉鎖の必要性も指摘されています。日産のグローバル生産能力は現在500万台ありますが、2024年度の生産規模は320万台程度にとどまる見通しで、稼働率は6割程度と深刻な状況が続いています。