カンヌ国際映画祭、控えめな盛り上がりとロシア市場再始動による映画ビジネスの行方

5月15日のカンヌ国際映画祭のレッドカーペットとパレ

大作プロモーションの変化と映画ビジネスの行方

今年のカンヌ国際映画祭は、例年のような華やかな喧騒とは裏腹に、どこか静けさを漂わせている。

フランスのリビエラといえば、富と贅沢の代名詞。クロワゼット通りは、夏の超大作から質の高いインディーズ作品まで、あらゆる映画に関連した豪華なイベントで埋め尽くされるのが常だ。映画祭のコンペティション部門外で上映される作品も多く、スター、業界関係者、ファン、そしてジャーナリストたちが織りなす熱気に満ちた空間は、映画の存在感を強くアピールする場となる。しかし、今年は世界的な経済の先行き不透明感が影響し、例年の華やかさが影を潜めているようだ。

「一体、あの盛り上がりはどこへ消えてしまったんだ?」

あるストリーミング会社の幹部は、海岸沿いのマジェスティック・ホテルで、通りすがりの記者にそう問いかけた。

今のところ、カンヌでプレミア上映を行い、大々的なプロモーションを展開しているのは、「ミッション:インポッシブル ザ・ファイナル・レコニング」のみ。しかし、トム・クルーズ主演の人気スパイ映画シリーズの最終章となる本作への期待感も、例年に比べるとやや小規模な印象を受ける。カールトン・ホテルの前には、映画の予告編を上映するシンプルな長方形スクリーンが設置されている程度で、2022年のパラマウントが、映画のシーンを巨大なバイザーに映し出す2階建ての空軍パイロットヘルメットを再現するために巨額の費用を投じたのとは対照的だ。とはいえ、スタジオは今年のガラプレミアで「ミッション:インポッシブル」のテーマ曲をオーケストラが生演奏するという、過去に数えるほどしか行われていない壮大な企画を実現させている(2007年のパレの階段でのU2のライブパフォーマンスなど)。

これまで、映画会社はカンヌを、自社の作品を大々的にアピールし、観客の期待感を高めるための絶好の機会と捉えてきた。

「ジョン・ウィック」スピンオフが先駆け? ロシア映画市場、新たな時代の幕開けとなるか

ウクライナ侵攻をきっかけに、多くの映画会社がロシアでの配給を停止してから3年。どのスタジオが最初にロシア市場での配給を再開するのか、業界内外の注目が集まっている。

現時点で、その動きを先駆けそうなのはライオンズゲートだ。同社は、アナ・デ・アルマス主演の「ジョン・ウィック」のスピンオフ作品「バレリーナ」を、6月5日にロシアの配給会社アトモスフェラ・キノを通じて公開する予定だ。ライオンズゲートの広報担当者はこの件に関するコメントを避けているが、関係者によると、同社は「ケースバイケースでロシアでの配給を進める」方針であり、この決定は「時間の経過」と「情勢の変化」によるものだという。

この動きの背景には、国際的な興行収入の減少に加え、アメリカのドナルド・トランプ大統領が二期目の政権発足当初からロシア・ウクライナ間の緊張緩和を優先的に進めていることを受け、両国間の関係改善への期待感が高まっていることがある。マーベルの「ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップス」や、パラマウントの「ミッション:インポッシブル ザ・ファイナル・レコニング」も、ロシアを含む世界規模での興行収入を視野に入れている。

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