大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」 宮田裕章氏による共鳴が生み出す新しい共生のかたち

2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」は、慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章氏がプロデュースする屋根も壁もないパビリオンです。
多様な人々が互いに響き合い、共創することで、より良い未来を築く「共鳴」をコンセプトに、万博開催期間を通して、協賛社とのコラボレーションにより様々な領域から多角的なプログラムを実施しています。
<目次>
「Better Co-Being」コンセプト 共に響き合い、新しい未来を創造する「共鳴」
「Better Co-Being」は、「いのちを響き合わせる」をテーマに掲げ、資源を分かち合い、個を尊重しながら繋がり、新しい世界を共に生み出すことを目指しています。訪れた人たちが互いに共鳴し、共に未来を描く体験を提供することで、人と人、人と自然が響き合う未来社会の可能性を探求します。この普遍的なテーマは、プロデューサーである宮田裕章氏の社会に対する深い洞察が反映されているパビリオンです。
屋根も壁もない建築 森と一体化する「共生」空間
パビリオンの建築デザインは、世界的な建築家・妹島和世氏と西沢立衛氏のユニットである「SANAA(サナア)」が手掛けています。万博会場中央部にある「静けさの森」の一角に建てられ、その最大の特徴は屋根も壁も持たないことです。また、敷地面積は1,634.99㎡あり、、境界を設けずに森と一体化し、変容する時代における建築の役割を再定義する試みです。自然光や風が通り抜け、周囲の環境と溶け合うことにより、訪れた人たちが開かれた空間の中、多様な存在との「共生」を五感で感じられるよう設計されています。この開放的な空間設計もまた、宮田裕章氏の考える「共生」のビジョンを体現しています。
人とのつながりから未来を描く「共鳴体験」
「Better Co-Being」では、訪れた人たちが互いに繋がり、未来を共に描く「共鳴体験」が楽しめます。行われているイベントの一例として、事前予約した15名程の人がグループになって楽しめる「luminous echorb」などがあります。「luminous echorb」は、「Better Co-Beingアプリ」と「echorb(エコーブ)」という謎めいた石のような2つのキーマテリアルを活用した3つのアート体験とエピローグを、体験できるイベントです。
- 「人と人との共鳴」出会ったばかりのグループ内で対話や交流を通じて共鳴し、相互理解を深めます。
- 「人と世界の共鳴」個人と世界、社会との繋がりを感じ、より大きな視点で共鳴を体験します。
- 「人と未来の共鳴」これまでの共鳴を経て、グループで未来を共に描き、創造する体験へと進みます。
これらのシーケンスを通じて、訪れた人たちは単に鑑賞するだけではなく、能動的に体験に参加することで、繋がりや共創の重要性を実感します。また、多様な文化、テクノロジー、健康、社会の未来をテーマにしたイベントやフォーラムも開催され、バーチャルパビリオンでは訪れた人たち自身が体験を創造し、共有することも可能です。
プロデューサー 宮田裕章氏とは科学と社会を繋ぐキーパーソン
「Better Co-Being」パビリオンのプロデューサーである宮田裕章氏は、1978年生まれの慶應義塾大学医学部教授です。彼の専門はデータサイエンス、科学方法論、Value Co-Creation(価値共創)であり、科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行っています。
厚生労働省の各種委員なども務め、データ活用による社会課題解決に尽力。その知見は多岐にわたり、社会課題に対する実践的なアプローチが評価されています。2025年日本国際博覧会のテーマ事業プロデューサーも務めており、自らの哲学をこの「Better Co-Being」パビリオンとして具現化し、訪れた人たちに「共鳴」という新たな社会のあり方を提示します。著書に『共鳴する未来』などがあり、その思想は多くの人々に影響を与えています。奇抜なヘアスタイルでメディア出演することでも知られ、学術界にとどまらず、社会全体にメッセージを発信し続ける注目の存在です。
「Better Co-Being」に参画するアーティストたち
「Better Co-Being」パビリオンでは、プロデューサーの宮田裕章氏と共に、世界的に活躍する多様なアーティストがアート制作に参画し、訪れた人たちの共鳴体験をより豊かなものにしています。
シークエンス1「人と人との共鳴」のアートインスタレーション(共鳴体験)
シークエンス1「人と人との共鳴」のアートインスタレーション(共鳴体験)に参画するアーティストは、以下の2名です。
塩田千春氏
記憶、存在、不在といったテーマを、黒や赤の糸を用いた大規模なインスタレーションで表現する国際的なアーティストです。
宮島達男氏
デジタルカウンターを用いた作品で、時間の概念や「生と死」といった普遍的なテーマを探求する現代美術家です。
「静けさの森」との連携
「静けさの森」エリアに作品が展示されるアーティストは以下の3名です。
オノ・ヨーコ氏
コンセプチュアル・アーティスト、音楽家として知られ、平和や愛、自由といったメッセージを世界に発信し続けています。
ピエール・ユイグ氏
映像、彫刻、生物学などを横断する表現で、時間や環境、意識の境界を探るフランスの現代美術家です。
レアンドロ・エルリッヒ氏
日常の風景の中に非現実的な錯覚を生み出すインスタレーションで知られるアルゼンチンのアーティストです。
シークエンス3「最大多様の最大幸福」(宮田裕章 with EiM)
5月2日から6月30日までの期間限定で夜の自由観覧時間中に、宮田裕章氏と蜷川実花氏によるアートが誰でも見ることができます。
蜷川実花氏
宮田裕章氏率いるクリエイティブチーム「EiM(エイム)」の一員としてアート制作に深く関わっています。特に、共鳴体験を促す「luminous echorb(ルミナス エコーブ)」のデザインや、シークエンス3で展示されるアート「最大多様の最大幸福」を手掛けています。
これらのアーティストたちが、それぞれの視点と表現方法で「Better Co-Being」のテーマを深く掘り下げるため、アートを通して忘れがたい感動と気づきが溢れる時間を過ごすことができます。
