
政府は特殊詐欺をはじめとする金融犯罪の防止策として、銀行口座開設やクレジットカード申請時における本人確認手続きの大幅な見直しを実施します。
発表によると、現在広く利用されている身分証明書の画像送信による認証方式が2027年4月1日をもって全面的に禁止されることになります。
現行制度では、運転免許証やマイナンバーカードの表面をスマートフォンで撮影して金融機関に送信する手法や、これらの書類をコピーして郵送する方法が一般的です。
しかし、警察庁の調査では、他人の身元を偽装して作成された不正な口座やカードが犯罪組織によって悪用される事例が継続的に発生しており、従来の確認システムでは十分な防犯効果が得られていない現状が明らかになっています。
新たな制度下では、より高度なセキュリティ技術を活用した認証手段が推奨されます。具体的には、身分証明書に内蔵されているICチップから電子的に情報を読み取る専用アプリケーションを使用した方法や、市町村役場で直接発行された住民票などの公的書類の原本を物理的に郵送する方法が認められます。
この制度変更により、金融機関は顧客の真正性をより確実に検証できるようになり、なりすまし犯罪の大幅な減少が期待されています。
なりすまし犯罪の深刻な実態 偽造口座を使った特殊詐欺の手口
特殊詐欺において、他人の身元を偽装して不正開設された銀行口座やクレジットカードが犯罪の中核的な道具として悪用されています。
この手法は犯罪組織にとって資金洗浄や証拠隠滅の有効な手段となっており、被害者だけでなく身元を盗用された第三者にも深刻な影響を与えているのが現状です。
犯人グループは、まず他人の個人情報をさまざまな方法で入手します。盗難された身分証明書、インターネット上で流出した個人データ、さらには偽造された運転免許証やマイナンバーカードを使用して、実在する人物の名前で銀行口座を開設します。
現在の本人確認制度では、身分証明書の画像送信やコピー郵送による認証が主流のため、精巧に偽造された書類では見破ることが困難な状況です。
これらの不正口座は「飛ばし口座」と呼ばれ、オレオレ詐欺や還付金詐欺で騙し取った資金の受け取りに使用されます。被害者が振り込んだ金銭は、複数の偽造口座を経由して短時間で現金化され、犯罪組織の資金源となります。
また、偽造されたクレジットカードは高額商品の購入に使用され、転売によって現金に換えられるケースも多発しています。
このような背景から、政府は2027年4月から画像送信による本人確認を廃止し、ICチップ読み取りなどのより確実な認証方式への移行を決定しました。