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- 元プロ野球選手がレモン農家に転身。戸田隆矢が見つけた「地域と歩むセカンドキャリア」

プロスポーツ選手である以上、いつかは訪れる引退。華やかな表舞台を去ったあと、どんな生活を送っているのか気になったことはありませんか?今回は、広島東洋カープで投手として活躍していた戸田隆矢(とだ・たかや)氏に、引退後のセカンドキャリアについて話を伺いました。
<目次>
プロ野球選手を引退後レモン農家に転身

プロ野球選手を引退した2022年に、妻と一緒に合同会社MINATOを設立した戸田さん。会社設立の背景には「レモン」との縁があります。
元々、戸田さんは「中学生の時点でプロ野球選手になれると思って野球をしてきて、その目標を疑ったこともなかったため、野球以外の人生を検討したこともなかった。むしろ、野球選手になれていなかったら何をしていたんだろう…(笑)」と、子どもの頃から野球一色の生活を送ってきました。目標通りプロ野球選手として活躍していた2020年、左手じん帯を負傷してトミージョン手術をしたとき、初めてセカンドキャリアについて考えるようになったそう。
そのタイミングで、野球から農業の道を選んだ同級生と会う機会があった戸田さんは、農地を見せてもらうことに。同級生の話を聞いて「自然を相手にするのは面白い。農業って自分たちが思っている以上に奥が深いんだな」と感じました。
また、美容事業を営む妻(当時は恋人)が「広島の特産物であるレモンを使った自社ブランドのアイテムを発売してみたい」と話していたことも頭に残っていたそう。しかし、その当時はまだプロ野球選手であったため、真剣に考えることはありませんでした。
そこから2022年にプロ野球の現役を引退して、今後について考え始めたところ、知り合いから「一緒にレモン農家をやらないか?」という連絡があり、レモンとの縁を感じて転身を決意。引退から3日後にはレモン農家になることが決まります。
「同級生と会ったときのこと、過去の妻の言葉がここでつながりました。自分はレモンに縁があったんだと思い、レモン農家に転身することに迷いはありませんでした」

現在は、レモン事業を主軸に、ライブ配信の支援事業、講師事業の3つを展開しています。ライブ配信の支援事業では、ライバーのサポートを担っており、講師事業では野球の講演会やスポーツイベントなどに登壇しています。
一方で野球に関わる仕事も続けたい気持ちがあり、子どもを対象とした野球イベントには積極的に関わっていく予定だそう。
「野球が好きな子どもを増やしたいです。僕が投げたら盛り上がってくれるし、キラキラした目で見てくれます。プロを経験した選手と触れ合うことで、子どもの夢につながったら最高ですね」
引退、合同会社MINATOの設立、結婚、第一子の誕生…さらに、レモン事業がスタートした2022年。戸田さんにとって、野球から飛び出して新しい生活になった人生の転機でした。
「僕も会社も、農園の苗木もまだ3歳。レモンと一緒に成長していきたいと思っています」と、戸田さんは微笑みながら話します。
レモンで広がるファンとの交流

レモン農家と野球選手、似ている点はありますか?という問いに「めっちゃあります!」と即答した戸田さん。レモンを育てるようになって気づいたのは、手をかければかけるだけレモンが応えてくれるということです。
広島市に生活の拠点を置いている戸田さんですが、レモン農園があるのは東広島市安芸津。昨年までは週に1回通うことができないときもあるほど、忙しい日々を送っていたそう。「これじゃダメだ」と思った戸田さんは、レモンにかける時間を増やすことを決意。
今年に入ってからは、手入れに通う回数を増やしています。肥料をあげたり生育をチェックしたり、木を大きくすることに励むようになりました。その結果、レモンの生育は昨年より順調に進んでいるそうです。
「手入れは大変ですが、手をかければかけた分だけ成長スピードは速くなりましたね。レモンと向き合う時間を増やしたことが良い結果になっていて、それはこれまでの野球人生とも通じている気がします」
また、戸田さんはSNSを活用し、ファンとの接点を増やす工夫もしています。レモンは植えて3年目から収穫できるようになるため、現在は戸田さんにとってレモンの師匠である甲斐(かい)さんの農園のレモンを使い“安芸津”のレモンの周知に尽力中。
まだ自分の農園のレモンが収穫できるときではないので、甲斐さんのレモンを通してレモンの存在を広めていく段階なのだそう。現在は、レモンスカッシュやレモンサワーなど、安芸津のレモンを使ったドリンクをイベントで出店しています。
「レモンを買いたい。SNSで見ました!まさか戸田さんに会えると思っていなかったのでうれしい…など、たくさんのありがたい言葉を直接聞くことができます。球場近くで出店したときは、カープ観戦の行きも帰りも買ってくれる人もいる…。本当にうれしいんです。これから収穫量を増やしていき、本当に求めてくれている方に直接届けられるようになりたいです」
また、ファンの方と作りあげていく農園も構想中とのこと。現在の苗木も植えるときには30人くらいの方に集まってもらい、一緒に植樹の農業体験をしたそう。「毎年少しずつ苗木の数は増やしていこうと考えているので、これからも植樹の際には参加型のイベントを計画したい」と話します。
現役時代にはなかったファンとの交流は、今の戸田さんにとって大きなエールとなっています。
レモンを通して地域に貢献していきたい

戸田さんは、レモン農園を安芸津に決めた理由として、「地域貢献の目的もある」と話してくれました。実は現在の農園に場所を決めるまで、いくつもの農園を見て話を聞いてきたと言います。
今のレモン畑は、じゃがいも畑だった場所をレモン用に変えたもの。土壌をイチから整える必要があったので、かなりの重労働だったそうです。その作業を手伝ってくれたのが安芸津に住む地域の人たちで、一緒に畑を耕し、農地を整えてくれました。
「地域の人たちが温かいことも、安芸津を選んだ決め手になりました。今も人口が減っているこの町を、レモンで盛り上げることができたら…と思っています。高齢化が進んでいる地域なので、畑がなくなっていくなら、自分たちのような若者が立ち上がるしかない」
また、戸田さんには、野球選手では叶えられなかった「億プレイヤー」の夢を、レモン農家で叶えたいという目標もあります。それは自分だけの利益を求めるわけではありません。
「億プレイヤーと言っても、“稼ぐ”意識というより、農家さんに育ててもらっているので、回りの農家さんも巻き込みながら、全方向が幸せになれる仕組みづくりの役割をしたいと思っています。ほかの事業も営んでいますが、主軸がレモン事業なので、レモンで叶えたい夢ですね。そのためには、第一産業を盛り上げたい。大変とか汚いとかそういったイメージがあると思いますが、良いこともたくさんある。田舎に来ると気持ちも落ち着くし、この景色や空気のおいしさ、農業の魅力を発信していきたいですね」
戸田さんのレモンを通した地域貢献の物語は、まだまだ序章。今後の活躍から目が離せません。







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