詐欺グループ幹部逮捕 被害50億円超 暴力団と中国組織が連携疑い

詐欺グループ幹部逮捕 被害50億円超 暴力団と中国組織が連携疑い

警視庁は10月17日、カンボジアを拠点とする特殊詐欺グループのトップとみられる中国籍の銭凌容疑者(38)ら男女3人を、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)などの容疑で逮捕しました。同グループは、警察官を装う手口で多額の現金をだまし取っており、被害額は2024年8月から2025年1月までの半年間で約50億円にのぼるとみられています。​

逮捕されたのは銭凌容疑者のほか、宮代祥平容疑者(31)と中国籍の盧璐容疑者(36)の3人です。銭容疑者はグループのトップとして組織を統括。宮代容疑者はカンボジアの拠点から日本に詐欺電話をかけていた「かけ子」らの管理役、盧璐容疑者は詐取金の資金洗浄(マネーロンダリング)などを指示する立場だったとされています。​

逮捕容疑は、2023年9月から12月にかけて、宮城県、静岡県、沖縄県に住む60代から70代の男女3人に対し、警察官を装って「口座が不正に利用されている」などと嘘の電話をかけたというものです。3人は、指定口座に現金約3522万円と約100万円相当の暗号資産を振り込ませ、だまし取っていたとみられています。

今回の事件では、詐取金の資金洗浄も行われていました。盧璐容疑者は、だまし取った現金の一部を不動産購入の手付金として不動産業者に振り込むなどして、犯罪によって得た資金を隠そうとした疑いが持たれています。警察当局はこうした新たなマネーロンダリングの実態解明を急いでいます。

さらに、一連の犯行には指定暴力団住吉会系暴力団組員の関与も浮上しました。警視庁は、銭容疑者と住吉会系暴力団組員が主導してカンボジアの拠点を設立したとみています。暴力団組員はカンボジアでの拠点づくりや「かけ子」収集の役割を担っており、中国の犯罪組織と日本の暴力団の協力関係が明らかになりつつあります。

急増する「ニセ警察詐欺」と警察の対応強化

警察官を装って被害者をだまし、捜査名目で現金をだまし取る「ニセ警察詐欺」と呼ばれる手口が急増。被害件数は2024年に前年比4倍以上の4261件にのぼり、特殊詐欺全体の中でも深刻な問題です。警察庁の統計によると、2024年の特殊詐欺被害額は約718億円と過去最悪を記録しました。

従来の特殊詐欺が主に高齢者を標的としていたのに対し、ニセ警察詐欺では20代から30代の被害が全体の約4割を占めるなど、幅広い世代に被害が及んでいます。こうした状況を受けて、警視庁は2025年10月1日付で大規模な組織改編を実施しました。

これまで暴力団などの捜査を行っていた「組織犯罪対策部」と「刑事部」を統合し、新たに「特別捜査課」を設置。約450人体制で特殊詐欺を中核に、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が関与する事件などを柔軟に担当することになりました。また、「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」も新設され、各部門から関連情報を集約するとともにターゲットの選定や各部署との調整を行っています。

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