EUが2035年以降も条件付きでエンジン車の販売を認める ドイツがEV移行に反対

ヨーロッパ連合(EU)は28日のエネルギー相理事会で、2035年で事実上禁止とする方針だったエンジン車の新車販売を、条件付きで認めることで正式に合意しました。

エンジン車の新車販売を認めない当初案を修正し、2035年以降も「e-fuel」と言われる合成燃料を使用する新車に限り、販売を認めています。一方で、バイオ燃料を利用する車については、2035年以降の販売を認めていません。

EUのティメルマンス欧州上級副委員長はTwitterにて、「将来の合成燃料使用でドイツと合意に達した」と表明しました。また、ウィッシング独交通相も「CO2の排出量が実質ゼロになる燃料だけを使う場合、35年からもエンジン車が許可される」と今回の概要を説明しています。

EUは2050年までに、域内の温暖化ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げており、今回の合意で電気自動車(EV)とエンジン車が併存することとなりました。しかし、最終合意の手前でドイツが突然反対したことで、他国はドイツに対して反発しています。

28日にEUの関係者は、「EVへの移行をめざすEUの基本方針は変わらない。多くの自動車メーカーはEVを選んでいる」と主張し、今後もEVへの移行を進める方針を示しました。

ドイツはなぜEVへの移行に反対したのか?

今回のエネルギー相理事会でEUが修正に正式合意した背景には、ドイツの強い反対意見があってのことでした。なぜドイツは、温暖化ガスを排出しないEVへの移行に反対したのでしょうか?

それは、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなど自動車大手を抱えるドイツは、EV移行への体制が整っていないためだとされます。エンジン車が主流のドイツでも、近年はEVが本格的に普及し始めました。

しかし、EVの急激な増加により充電インフラの整備が不十分であるなど、EV移行に対して多数の課題を抱えています。また、EV移行が進んでいるとはいえ、自動車大手はいまだエンジン車が主流であり、エンジン車の新車販売を完全に禁止されるのは、ドイツにとって大きな損害になり得るのです。

あくまで推測ですが、これらのことからドイツはEVへの移行に反対意見を示したのだとされます。今回の1件に対してネット上では、「’なんでドイツの意見だけ通るの?」「欧州議会で可決しておきながらいい加減なのでは?」「やっぱりといった印象」などの意見が寄せられています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 東京都は19日、築地市場跡地の再開発計画において、三井不動産を代表とする企業グループを事業予定者とし…
  2. 花粉症が嫌われる理由は多くの人にとって明白ですが、意外な利点があることが最近の研究で明らかになってい…
  3. 米国のテクノロジー大手Metaは4月18日、新しい生成AI技術「Llama 3」を発表しました。この…

おすすめ記事

  1. 2023-11-9

    NASAがボイジャー2号のソフトウェアを更新 探査機までの距離はおよそ193億km

    NASAは長期間にわたり宇宙の深遠へと旅しているボイジャー2号の最新の状況を公表しました。ボイジャー…
  2. 上空から見た羽田空港(空撮)

    2024-4-15

    羽田空港の航空保安施設が支える快適な空の旅。安全運航の裏側にせまる

    日本と世界を結ぶ玄関口である羽田空港。今回は、航空機を安全に飛ばすために必要な様々な施設の中から、対…
  3. 東京報道新聞が法務大臣から拝受した感謝状(2024年2月)

    2024-3-6

    法務大臣感謝状を拝受しました(更生保護事業への取り組みについて)

    2024年2月19日、株式会社東京報道新聞社は、法務大臣感謝状を拝受。法務大臣からの感謝状とは、「社…

【募集中】コンテスト

第5回ライティングコンテスト(東京報道新聞)

【結果】コンテスト

東京報道新聞第4回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. ゴミ収集車の死亡事故による呼び捨てでの実名報道で訴訟を起こした品野隆史氏
    現在メディアでは、事件に関して疑いのある人の実名報道では「容疑者」を呼称でつけていますが、1989年…
  2. 青森県で協力雇用主として出所者の社会復帰を目指して雇用する企業「有限会社松竹梅造園」代表の渡辺精一様
    協力雇用主とは、犯罪や非行をした者の自立や社会復帰に向けて事情を理解したうえで就職先として受け入れる…
  3. 青森刑務所で受刑者に講話を行った受刑者等専用の求人誌「Chance!!」編集長・三宅晶子氏
    三宅晶子氏(株式会社ヒューマン・コメディの代表取締役)は、日本初の受刑者等専用求人誌「Chance!…
ページ上部へ戻る