
オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)は17日、ウクライナからの子供の拉致に関与した疑いがあるとして、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したと明らかにしました。
逮捕状が出たからと言って、在任中に身柄拘束を経て公判に至る可能性は高くありませんが、世界からの評価を大きく揺るがす1件となりました。この逮捕状に対し、ロシア側は強く反発しています。
ロシアのプーチン大統領のほか、子どもの権利などを担当するマリヤ・リボワベロワ大統領全権代表にも、戦争犯罪の疑いで逮捕状が出されています。ロシアが占領したウクライナの地域からは、多くの子どもたちがロシア側に移送されており、これが国際法上の戦争犯罪にあたるとして、裁判所はプーチン大統領らに責任を求めました。
ICCのカーン主任検察官は、「こうした行為は、子どもたちをウクライナから永久に連れ去ろうとする意思を示している」とコメントしています。しかし、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、国内メディアに対して「言語道断で容認できない。この種のいかなる決定も法律上の観点からロシアでは無効だ」と述べ、ICCの判断を非難しました。
ロシア前大統領「プーチン氏の逮捕を試みれば宣戦布告になる」
ロシアのメドベージェフ前大統領は23日、プーチン大統領に逮捕状が出た件について、「プーチン氏の逮捕を試みればロシアに対する宣戦布告になる」と述べました。また、メドベージェフ前大統領は国内メディアに対し、ICCは法的根拠のない組織であり、これまで重要なことは何もしていない、と主張しています。
一方で、オーストリア法務省は24日、ロシアのプーチン大統領が自国を訪れれば逮捕する必要がある、という意見を示しました。
2022年4月にネハンマー首相はプーチン大統領と対面で会談するなど、オーストリアとロシアの関係性は悪くありませんでした。しかし、オーストリアは中立国であり、それに加えICC加盟国でもあるため、「協力する義務がある。逮捕状は執行しなければならない」と逮捕する意思を示しています。
また、スーダンの前大統領の逮捕状を前例として「国家元首でも免責は適用されない」と、プーチン大統領に対する見解を述べました。
今回の1件を受けてネット上では、「プーチン大統領が逮捕されるされないに限らず、国際刑事裁判所がここまで批判していることが重要」「この1件でロシアはさらに孤立するのでは?」「ロシアは外交上の大打撃となった」などの意見が寄せられています。