小型人工衛星打上げロケット「ZERO」、エンジン用ターボポンプの熱走試験に成功
インターステラテクノロジズ株式会社は、小型人工衛星打上げロケット「ZERO」のエンジン「COSMOS」用ターボポンプの熱走試験に成功しました。同社はサブスケールモデルでのターボポンプ開発を全て完了し、基幹ロケット関連企業以外では国内唯一のターボポンプ技術保有企業となりました。
ZEROでは、燃料ポンプと酸化剤ポンプを一体化させた「一軸式」を採用しています。この技術の採用により、エンジンシステム全体の小型・軽量化や低コスト化を実現しています。
ターボポンプ開発の最終仕上げとなる熱走試験では、目標回転数での良好な動作が確認されました。同社のターボポンプグループには、基幹ロケットでの開発経験者やロケットシステム設計経験者が複数在籍しており、フライトに向けた開発モデルの設計も既に完了しているとのことです。
ネット上では、「これで日本国内民間初の人工衛星打ち上げができるロケットが作れる」「真空機器や冷凍機を作ってる会社で作れないかな?」「日本での人工衛星打ち上げが楽しみ」などの意見が寄せられています。
ZEROエンジン用ターボポンプの設計、2019年より共同研究がスタート
ZEROエンジン用ターボポンプの設計は、2019年に国立大学法人室蘭工業大学との共同研究からスタートしました。2021年9月には、ポンプ製造国内最大手の株式会社荏原製作所も加わり、3者による共同研究開発体制を構築しました。
試験は株式会社IHIエアロスペースの協力のもと、同社の相生試験場で実施。開発難度の高いターボポンプにおいて、設計・製造・試験の各過程で国内の知見を結集してきたのです。
ZEROは、燃料に液化バイオメタン、酸化剤に液体酸素を使用する液体ロケットです。エンジンには、「ガスジェネレータサイクル」と「再生冷却方式」を初採用しており、エンジン名称は北海道大樹町の花にちなんで「COSMOS」と名付けられました。
小型衛星をターゲットにした同ロケットは、打上げ費用8億円以下とビジネスモデルに合わせた専用打上げの柔軟性が強みです。搭載可能な衛星重量を地球低軌道(LEO)に最大800kgまで増強し、アジア・オセアニアや欧州市場でのポジション確立を目指します。
インターステラテクノロジズ株式会社は、この成功を足掛かりに「誰もが宇宙に手が届く未来」の実現に向けて、さらなる技術革新と事業拡大を進めていくとしています。