中国政府が日本行きの団体旅行を解禁する方針であることが9日、明らかとなりました。在日本中国大使館は日本外務省に対して同日、10日に団体旅行を解禁すると文書で通知しました。
中国の景気低迷に伴い、日本との経済交流を強化する意向が強まっています。また、12日には日中平和友好条約の締結から45年の節目を迎え、関係改善に向けた動きも見られます。
中国政府は、新型コロナウイルスの感染拡大によって制限していた中国人の団体旅行と一部の旅行商品について、10日から日本を含む78の国と地域に対して新たに解禁すると発表しました。韓国やインド、アメリカ、オーストラリア、イギリス、ドイツなども解禁対象となります。
中国は2020年1月以降、海外への団体旅行を制限していましたが、今年2月以降は段階的に解禁を進めていました。今回の解禁で、中国から日本への団体旅行が約3年半ぶりに再開され、日本を含む138の国と地域で団体旅行が再開されることとなります。
日本を訪れる中国人旅行者の数は、2020年以降「ゼロコロナ」政策の影響で減少していましたが、春ごろから個人旅行者が増加し、回復傾向が見られていました。今後、日本を訪れる中国人旅行者の数が増加するという見通しが強まっています。
2019年と比べて中国旅行者が減少 団体旅行制限が影響か
2019年には約959万人の中国人旅行者が日本を訪れ、訪日外国人全体の3割を占めていました。また、活発な消費で知られる「爆買い」が各地で見られ、2019年の訪日外国人における消費額全体の約4兆8,000億円のうち、中国は約1兆7,000億円と36%を占めています。
新型コロナウイルスの感染拡大後、中国人の訪日が大幅に減少しましたが、2022年10月の水際対策緩和から徐々に回復し、2023年6月には約207万人の外国人旅行者が訪れました。
しかし、中国人旅行者はそのうちの約20万人で、2019年6月と比べて4分の1以下にとどまっています。この主な原因として、中国政府が団体旅行を制限していたことが影響しており、今回、中国政府が団体旅行を解禁すると発表したことで、「爆買い」の回復に期待が高まっています。
中国での団体旅行の解禁についてネット上では、「儲かるのは一部なのにその他国民はいい迷惑」「日本政府にはしっかりとした入国規制をお願いしたい」「風邪薬やのど飴の買い占めはやめて」など、ネガティブなコメントが多く寄せられています。