【医師の論文紹介】筋トレはどれぐらいサボっても平気か?筋トレの休養期間が筋力に与える影響とは

「【医師の論文紹介】【医師の論文紹介】筋トレはどれぐらいサボっても平気か?」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

ジムに行くのをサボってしまった。
そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

最初は順調にジムでのトレーニングを続けていたけれど、忙しい仕事や天候の変化などで外出が億劫になり、気づけばジムに行く習慣が途絶えてしまうことがあります。

そんなとき、「もう筋トレの効果は無くなってしまったのではないか」と心配になることもあるかもしれません。しかし、筋トレをサボってしまった場合でも、トレーニングを再開すれば、今までの努力の成果を無駄にせずに回復することができることが分かっています。

今回は、そんな筋トレの休養期間が筋肉に与える影響を示す研究を紹介します。

論文

Eeli J.Halonen,Idda Gabriel,Milla M. Kelahaara,et.al.Does Taking a Break Matter—Adaptations in Muscle Strength and Size Between Continuous and Periodic Resistance Training.Scand J Med Sci Sports. 2024 Oct;34(10):e14739. doi: 10.1111/sms.14739

フィンランドのユヴァスキュラ大学、Eeli J.Halonen氏らがScandinavian Journal of Medicine and Science in Sports」に2024年10月に報告した研究です。

研究の背景

筋力トレーニングは、健康維持や体力向上に、非常に重要な役割を果たしていることは広く認識されています。筋力をつけるためには、継続的なトレーニングが必要だと考えられていますが、休養期間を全く取らずにずっとトレーニングを続けるのは、難しい場合も多いです。特に仕事やプライベートで忙しくなると、トレーニングを中断せざるを得ない状況が生まれることがあります。これまで、どの程度の中断が筋トレに影響を与えるのかについては明確な答えがなかったため、筋力や筋肉量への影響を調べるための研究が行われました。

研究の方法

この研究には、健康でトレーニングをしていない若年成人男女55名(平均年齢32歳)が参加しました。男性は55%、女性は45%でした。参加者は2つのグループに分けられ、一方は「継続的なトレーニンググループ」として20週間にわたってトレーニングを行い、もう一方は「周期的なトレーニンググループ」として、最初の10週間にトレーニングを行った後、10週間の休養を取り、その後再び10週間トレーニングを行いました。

どちらのグループも、専門家の監督の下で個別に設定された運動強度でトレーニングを行い、その後、筋肉の状態を比較しました。測定項目としては、レッグプレス(足の筋力を測定する運動)と上腕二頭筋カール(腕の筋力を測定する運動)の1回最大負荷、カウンタームーブメントジャンプ(ジャンプの高さを測定する運動)の高さ、外側広筋の筋横断面積、上腕二頭筋の筋横断面積が使用されました。

研究の結果

研究の結果、両グループともに、上腕二頭筋カールの1回最大負荷、外側広筋と上腕二頭筋の筋横断面積、カウンタームーブメントジャンプの高さが有意に増加しました。つまり、両グループともに筋力や筋肉量が増加したことが分かりました。しかも、グループ間において顕著な差は見られませんでした。

一方で、周期的なトレーニンググループは、休養期間中に筋力や筋肉のサイズが減少しましたが、再びトレーニングを再開すると、わずか5週間ほどでレッグプレスの1回最大負荷や外側広筋、上腕二頭筋の筋横断面積の増加が、継続的なトレーニンググループの10~15週目よりも大きくなりました。最終的に、合計20週間のトレーニングを終えた時点で、両グループの筋力や筋肉量には大きな差はありませんでした。

この研究から分かったこと

筋力トレーニングは継続が重要だとされますが、どうしてもトレーニングを続けられない時期もあるでしょう。そんなとき、無理にトレーニングを続けずに休んでも、筋トレの効果が完全に無駄にならないということが、この研究の重要な発見です。

研究の結果、約10週間程度の中断であれば、再開後に筋力や筋肉量を元に戻すことができ、筋トレの効果を無駄にせずに維持できることが確認されました。もちろん、中断期間中に筋力や筋肉量が一時的に減少するため、再開後には以前のように重い重量を扱えないこともあります。しかし焦らず、徐々にトレーニングを再開すれば、再び筋力や筋肉量を元に戻すことができるのです。

忙しい時期や体調が優れないときは無理をせず休んでも、トレーニングを再開すれば以前と同じような結果を得られるため、これまで忙しさを理由にジムに通うことを躊躇していた人にとって、非常に有益な情報だといえるでしょう。

結論

筋力トレーニングは継続が大切ですが、一時的な中断が筋トレの効果を完全に失わせるわけではありません。約10週間程度の休養期間を取っても、トレーニングを再開すれば、以前の成果を取り戻すことができることが分かりました。忙しい時期や体調不良などでトレーニングを休むことに不安を感じていた人は、無理せず休養を取り、その後トレーニングを再開することで、以前の成果を取り戻し、さらに向上させることができるのです。

もし今、筋トレをサボってしまっていると感じているなら、再開するのに遅すぎることはありません。少しずつでも取り組むことで、筋力や筋肉量は確実に回復します。忙しい生活の中でも、時間があるときにしっかり筋トレを行い、無理なく休養を取ることで、効率的に成果を上げていくことができるでしょう。

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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