
三菱UFJ銀行の元支店長代理、今村由香理容疑者が顧客の貸金庫から金塊や現金を盗んだ容疑で逮捕されました。容疑者は2024年9月、2人の顧客の貸金庫から約20キロの金塊を盗み出したとしています。
警視庁の調べによると、被害は60人以上の顧客に及び、総額は17億円以上に上るとみられています。今村由香理容疑者は、金庫を開けるスペアキーを元の封筒に戻してのり付けしたり、顧客が予期せず来店した際にはシステムを切断して入室を阻止したりなど、巧妙に発覚を免れる工作を行っていたとのことです。
また、盗んだ金品を別の顧客の金庫に移し替えて「補てん」するといった隠ぺい行為も繰り返していました。容疑者がこのような犯行に及んだ背景には、FX取引や競馬での多額の損失があったとみられています。
借金の返済に窮した末に、顧客の金品に手を付けるようになったのでしょう。盗みを繰り返す中で、質店に持ち込んだ金塊を買い戻して元の金庫に戻すなどの行為も行っていたといいます。
今回の事件は、銀行の貸金庫の管理体制に重大な問題があったことを浮き彫りにしました。警察は詳しい経緯を調べるとともに、銀行側の責任についても追及していく方針です。
三菱UFJ銀行、被害者への補償進める 総額7億円あまりの補償を実施
三菱UFJ銀行は、元行員による貸金庫からの金品窃盗事件を受けて、被害者への補償を進めています。現時点で被害が確認されているのは約60人ですが、さらに数十人が被害に遭った可能性があるとのことです。
これまでに約40人に対し、総額7億円あまりの補償が実施されましたが、銀行は残る被害者への補償を急ぐ方針です。この事態を重く受け止めた三菱UFJ銀行は、半沢淳一頭取をはじめとする役職員の処分を早急に検討しています。
先月の会見で半沢淳一頭取は、貸金庫の鍵の管理体制に不備があったことを認め、「真因分析と再発防止策をしっかり取り組むことが私の責任だと思っている」とコメントしました。
銀行はすでに、貸金庫のスペアキーを本部で一括管理するよう管理体制の見直しを発表しています。三菱UFJ銀行は今回の事件について、「これまでと同様、警察の捜査に全面的に協力してまいります。今回の事案は信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであると重く受け止め、全行をあげて再発防止策の策定と実行に取り組み、お客様や関係する皆様からの信頼の回復に努めてまいります」と説明しています。