
米テスラが6月27日、テキサス州オースティンにおいて製造工場から購入者の住居まで、人間の介入を一切必要としない完全自動運転による車両配送の実証に成功したと発表しました。
イーロン・マスク最高経営責任者によれば、このような形態での車両引き渡しは世界で前例がないとのことです。
今回の配送に使用されたのは、日本市場でも展開中の『モデルY』改良版です。この最新モデルには、同社の次世代車両である『サイバートラック』や自動運転タクシー『サイバーキャブ』から継承されたデザイン要素が盛り込まれています。
特に注目すべきは、業界初となる拡散反射技術を採用したリア部分のボディパネルテールライトシステムです。
技術面での進歩も顕著で、サスペンション機構の最適化、シート冷却機能の追加、後席乗員向けの8インチディスプレイ搭載など、乗車体験の向上が図られています。
公開された車内映像では、運転席に誰も座っていない状態でステアリングホイールが自律的に操作され、高速道路での走行では時速115キロという高速域でもスムーズな運行を維持していました。
テスラは同月22日に同地域で自動運転タクシー事業を開始しており、イーロン・マスク氏は来年中に数百万台規模でのロボタクシー展開を計画していることを明らかにしています。
テスラの自動運転技術 膨大なデータで進化する次世代システム
テスラの自動運転技術は、全世界600万台以上の車両から蓄積された膨大な走行データを基盤とした機械学習システムです。
同社のフルセルフドライビング(スーパーバイズド)は、100年分を超える実際の運転経験を匿名化して解析し、あらゆる交通状況に対応できるよう継続的に改良されています。
技術的な特徴として、車両に搭載された360度全方位カメラシステムが挙げられます。人間のドライバーとは異なり、疲労や注意散漫といった要因に影響されることなく、常時周囲の状況を正確に把握できるのが強みです。
ルート案内から車線変更、駐車操作まで、日常運転のほぼ全ての場面で自律的な判断と操作が可能です。安全性においても顕著な成果を示しており、統計データによるとスーパーバイズド作動時の事故発生率は、人間のドライバーと比較して54%低いとされています。
また、スマートサモン機能では駐車場内での自動車両呼び出しが可能で、オートパーキング機能により縦列・並列駐車を自動実行します。