
三菱UFJ銀行の貸金庫から金塊や現金を盗んだ窃盗罪に問われている元行員・山崎由香理被告(46)の第3回公判が、2025年7月4日、東京地方裁判所で開かれた。山崎被告は黒のスーツ姿で、法廷に入ると共に法廷および傍聴席それぞれに深々と一礼をした。この日も起訴内容を全面的に認め、争う姿勢を見せなかった。公判は検察側の論告が行われ、被害状況について報告された。
この事件は、山崎被告が在職中に貸金庫業務の管理責任者だった立場を悪用し、顧客の金品を繰り返し盗んでいたというもの。警視庁によると、被害は練馬支店と玉川支店の2か所で発生し、確認されている被害総額は17億円を超える。被害者は少なくとも70人以上にのぼり、銀行はその一部について補償対応を行っている。
検察側の冒頭陳述によれば、山崎被告は1999年に入行し、2020年4月から貸金庫の管理責任者となった。この頃、外国為替証拠金取引(FX)で多額の損失を抱えており、損失を補うため責任者の立場を悪用して予備の鍵で貸金庫から金塊や現金を繰り返し盗み、盗んだ金塊は質入れして換金していたという。
罪をすべて認めた被告 量刑の行方は
山崎被告は初公判(4月18日)で練馬支店の金塊窃盗に関する起訴内容を「全部認めます」と明言し、続く5月19日の第2回公判でも玉川支店での現金1,650万円の窃盗という追起訴事実について「間違いありません」と述べて争わない姿勢を示していた。一貫してすべての罪を認めており、今回の公判でもその態度に変わりはなかった。
山崎被告は、2014年頃から投資やギャンブルで多額の借金を抱え、過去に債務整理の手続きを行っていたことが判明している。弁護側はこうした経済的困窮の事情を踏まえ、「生活苦から犯行に及んだ」として情状酌量を求めている。
一方、検察側は被害額の規模と社会的影響の大きさに着目し、「悪質かつ常習的な犯行」であると厳しく指摘しており、悪質極まりない犯行として厳罰を求める姿勢を見せた。
この日も傍聴券の交付が行われ、大勢の一般傍聴希望者が列を成し、事件への注目度の高さがうかがえた。次回は、8月25日(月)10時〜東京地方裁判所715号法廷にて弁護側の反対弁論が行われる。
第2回公判について知りたい方は、下記記事をお読みください。