中国の民間宇宙開発企業、藍箭航天(LandSpace)が歴史的な偉業を達成しました。同社が開発したメタン燃料を使用したロケット「朱雀2号」の打ち上げが成功。スペースXを差し置いて、メタンロケットの打ち上げとして世界初の試みとなりました。
メタンロケットの打ち上げは、ゴビ砂漠に位置する酒泉衛星発射センターから7月12日に行われ、メタンと液体酸素を燃料にする朱雀2号の軌道進行は、米宇宙軍も確認済みです。
このメタンロケットは世界中から注目されており、その理由はメタン燃料による数々の利点が見込まれるからです。安全性と製造コストの低さ、エンジンの再利用可能性、そして完全燃焼による残留物の排除。これらはメタン燃料による大きなメリットと言えます。
また朱雀2号の成功は、ほかのロケット開発プロジェクトにとっても重要な意味を持ちます。「Starship」や「Terran-1」、「Terran R」、「Neutron」、「New Glenn」などのロケットがメタン燃料への移行を検討している中、朱雀2号が一番乗りでメタンエンジンの成功を成し遂げました。
政府が民間宇宙関連企業への投資を許可したこともあり、ここ最近は中国の宇宙産業が驚くべき速度で成長しています。
藍箭航天のロケット打ち上げは今回で2回目 1回目は失敗
今回、藍箭航天がロケットを打ち上げたのは2回目であり、2022年12月14日に行われた1回目の打ち上げは失敗に終わっています。今回の結果は、同社の粘り強い努力の証と言えるでしょう。
この歴史的な快挙はただの偉業ではなく、世界の宇宙開発において非常に重大な出来事であり、時代の転換点になるとも言われています。なぜなら、この成果は国家によるものではなく、民間企業によって達成されたものであるからです。
世界の舞台で活躍する民間宇宙開発企業の一角を占める中国のポテンシャルを示す事例となり、今後は民間企業への注目度がさらに高まります。そもそも藍箭航天は、2015年に設立された北京に拠点を置くベンチャー企業です。
清華大学発のスタートアップとして始まって以来、国や民間の投資を受けて研究開発を進めています。北京に研究開発センターを設け、甘粛省北西部の酒泉衛星発射センターには自社の施設を構えています。
中国が誇るロケットベンチャーの中でも、頭ひとつ抜きん出た存在として、その名を世界中に轟かせました。「素晴らしい。東アジアの栄光ですね」などの声もあがっており、今後の藍箭航天の動向に注目が集まります。