澤穂希さんが1日所長に!14,000人が来場した第50回府中刑務所文化祭

府中文化祭のアーチ

2025年11月3日、記念すべき第50回府中刑務所文化祭が開催されました。

府中刑務所文化祭は、府中刑務所が1年に1回主催する一般公開のイベントです。地域社会への貢献、そして地域の方々との大切な交流の場として、日頃の感謝を込めて開催されています。全国の他の刑務所では「矯正展」という名称で知られていますが、府中刑務所では文化の日に開催されることから、「文化祭」と呼ばれているのが特徴です。

全国の矯正展と同様に、府中刑務所の文化祭でも刑務所作業品の展示・販売や、さまざまな団体の協力によるイベント、体験コーナーが盛りだくさん。普段は見られない刑務所内を知ることもできる、貴重なイベントです。今年の来場者はなんと約14,000人!大盛況となった当日の様子をレポートします。

<目次>

全国有数の規模を誇る府中刑務所

府中刑務所外観

舞台となる府中刑務所は敷地面積約8万坪、収容定員2668人、職員数約600人という全国でも有数の規模を誇る刑務所です。収容対象も日本人受刑者、外国人受刑者、身体・精神疾患者と多様です。

府中刑務所は全国で9施設しかない、医療機器や医療スタッフ等を重点的に整備した「医療重点施設」でもあります。さらに矯正処遇部、調査・支援部などを始めとした計6つの部門で構成。6部制の施設は全国で4か所しかありません。

受刑者の矯正処遇の一環として行われる作業には、木工作業・印刷作業などがあります。なかでも革工作業では各種婦人用バック等を生産し、その品質は高く評価されています。今後も社会に貢献できる作業の導入を目指しているそうです。

元なでしこジャパン・澤穂希さんが1日所長に

府中文化祭開門前の行列

例年1万人以上の人が訪れる府中刑務所文化祭。2025年も女子サッカー元日本代表の澤穂希さんが1日所長を務めることもあってか、開場時間である9時前には大行列ができていました。「5時半ごろから並んでいる」と教えてくれた人も。

府中文化祭テープカット

1日所長を務める澤さんは、まず所長室で委嘱状を受け取り、その後東門アーチ前に移動。高野律雄府中市長らとともにテープカットに参加し、晴天のもと文化祭がスタートしました。

府中文化祭演武

続いて、澤さんは府中刑務所警備隊による演武を見学しました。これは、所内の非常事態や災害発生時に迅速に対処する部隊が、日頃の訓練の一部を披露するものです。澤さんが警備隊に号令をかける場面も見られました。

澤一日所長と来場者のふれあい

その後、西岡府中刑務所長の案内で刑務所アート展や、全国の刑務所で作られた刑務所作業製品の販売ブースなど会場内を見学。会場を移動する澤さんを見かけて、思わず手を振る来場者も見られました。澤さんは来場者の呼びかけに笑顔で応え、写真撮影にも応じるなど、和やかな雰囲気でした。

府中刑務所入浴場

会場見学の後は、刑務所施設見学へ。「共同室(受刑者の居室)」「自動車整備工場」「入浴場」木工作業を行う「工場」などを真剣な表情で見て回りました。

府中刑務所工場

布製の鞄などを作る「洋裁工場」では、府中市在住の漫画家・板垣恵介さん(「グラップラー刃牙」作者)や府中市に本拠地をおくラグビーチーム「東京サントリーサンゴリアス」とのコラボ作品も展示されていました。

澤一日所長の検食

施設見学の途中では、矯正処遇部長室にて検食も。府中刑務所では管理栄養士の指導の下、受刑者が食事を作っています。その食事を毎回所長らが検食し、味付けや量などを確認しているそうです。

府中刑務所のカレー

この施設見学は「施設見学プリズンツアー」として、一般来場者も体験できる毎年人気のイベントです。本年も先着4,050人に入場券が配布されましたが、13時には配布終了となりました。
※一般の方が立ち入れない区域や、撮影不可の展示ゾーンもあります。

府ロクの選手たちと澤一日所長

ステージでの感謝状贈呈をもって、澤さんの1日所長としての活動は無事終了。記念品を渡したのは、澤さんが所属していた府中のサッカーチーム「府ロクサッカークラブ」の選手たち。かわいらしい後輩の姿に、澤さんも笑顔を見せました。1日所長の役目を終えた澤さんは次のように振り返りました。

「日本代表として日の丸を背負う責任や覚悟と同様に、中途半端な気持ちではできないと思い臨みました。受刑者の方々が社会復帰に向けて一生懸命活動している姿を間近で見ることもできましたし、貴重な機会をいただいたことを光栄に思います。多くの方々に矯正展に来ていただき、受刑者の方が作ったものを手に取るなどして、刑務所の実情を知ってもらえたらうれしいです」

1本100円のパンが15分で完売!大人気グルメの数々

府中文化祭キッチンカーの行列

府中刑務所文化祭では多彩なグルメが味わえるのも大きな魅力です。本年も焼きそばやたこ焼きなどお祭り定番グルメの模擬店や、ピザ窯を積んだピザ店などのキッチンカーが立ち並び、行列ができていました。

府中文化祭の人気のパン

とりわけ毎年大人気なのが、府中刑務所の調理工場で受刑者が焼いたパン。なんと1本100円という驚きの価格で、入手するためには整理券が必要です。昨年より本数を増やして1600本も用意されましたが、わずか15分で整理券は売り切れました。

知る人ぞ知る名品。刑務所作業製品の販売

府中文化祭刑務所作業品の販売の様子

全国の刑務所で1つひとつ丁寧に手作りされた刑務所作業製品のブースも、府中刑務所文化祭の見どころです。刑務所作業製品は、受刑者の社会復帰に向けた日々の取組みをお届けしたい、との願いを込めて販売されているそうです。売上の一部は、犯罪被害者団体の活動に使われています。

ブルースティックを販売する様子

会場内には府中刑務所で作られたバッグや、甲府刑務所から届いたソファーなど、多種多様な製品がずらり。なかでも毎年人気なのは「ブルースティック」という青い固形石鹸です。頑固な汚れを落とせると評判で、油汚れに強い「ブルースティックオレンジ油入り」は午前中で完売していました。

公開録音から性格検査まで! 多彩なイベントが盛りだくさん

「けやきの散歩道」の公開録音

会場では、幅広い年齢層が楽しめるイベントも行われていました。午後のステージでは調布FM放送が送る「けやきの散歩道」の公開録音。「けやきの散歩道」は受刑者が寄せたメッセージとリクエスト曲を基に、パーソナリティの長谷川理沙さんがトークをお届けする番組で、刑務所内でも流されています。この日は「私にとっての刑務作業」をテーマに、受刑者の率直な思いが届けられていました。

府中市が協力した起震車体験

自衛隊・警察・消防などが協力するイベントは、家族連れにも大人気。消防車や自衛隊の車両を間近に見た子どもたちは興奮している様子でした。また、府中市が協力した起震車体験や、消防隊員・刑務官などの制服で記念撮影ができるコーナーにも、長い行列ができていました。

府中文化祭の性格検査の看板

心理専門官による性格検査も注目を集めていました。このイベントは、受刑者が実際に受けているMJPIと呼ばれる性格検査の簡易版を体験できるというもの。体験した小学生は「判断結果が自分の性格に合っていて楽しかった」と教えてくれました。

府中文化祭アート展

この他にもウェルカムボードの作成・ミニトートバッグ絵付け体験や、刑務所で過ごす人たち・刑務所とかかわる人たちの芸術表現を集めた「刑務所アート」展など、さまざまなイベントが行われていました。

社会と受刑者をつなぐための矯正展

府中文化祭のパネルと記念品

第50回を迎えた府中刑務所文化祭は、一時的に雨がパラついたもののおおむね晴天に恵まれ、大勢の来場者による熱気に包まれながら幕を閉じました。本年は入場チケットのほか、先着4050名へ記念の「手札」(写真右上)が配られました。

こうした多くの来場者を迎える盛大なイベントの意義について、西岡所長は次のように語りました。

「文化祭などの機会を通して、刑務所の中でどんなことをしているのか、どんな思いで生活しているのかをご理解いただきたいと思っています。受刑者の社会復帰には地域の方々との交流やつながり、そしてご理解が不可欠です。今後、社会の方々に我々の取り組みを見ていただき、どう受け入れていくかを考えてもらえるような場になるよう努力したい」

普段は立ち入ることのできない刑務所内部を見学できるという貴重なイベントである矯正展。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

府中刑務所の基本情報

所在地
〒183-8523 東京都府中市晴見町4-10
交通手段
JR武蔵野線「北府中駅」から徒歩10分
JR中央線「国分寺駅」から府中駅行きバス「晴見町」下車徒歩5分
京王線「京王府中駅」から国分寺駅行きバス「晴見町」下車徒歩5分

TEL 042(362)3101(代表)
FAX 042(362)2107(代表)

府中刑務所
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00080.html

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田村美穂ライター

投稿者プロフィール

東京都を中心に活動するライター。
取材記事を中心に、イベントレポート・SEO記事などを手掛ける。

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