
X(旧Twitter)への投稿内容を無許可で複製・転載された利用者が起こした訴訟で、東京地方裁判所は9日、SNS投稿が著作権法上の保護対象となると判断し、被告に約40万円の支払いを命じる判決を下しました。
訴訟の経緯は2023年に遡ります。原告は自身が運営するアカウントのプロフィール画像と、特定の芸能人を支援する内容の過去投稿を第三者によってスクリーンショット撮影され、インターネット上の匿名掲示板などに無断で掲載されました。
これを著作権侵害として、原告は転載行為を行ったアカウント運営者に対し約200万円の損害賠償を請求していたのです。
杉浦正樹裁判長は判決理由の中で、問題となった投稿について「個性が表れたものといえ、思想や感情を創作的に表現したもの」と評価しました。
この判断基準により、SNS上の短文投稿であっても著作物性を有すると認定。無許可での複製・公開行為は著作権法に抵触すると結論付けています。
ネット上では、「訴訟が増えて著作権違反が減ると良いですね」「ある意味面白い判決が出たな」「当然そうなると思うしそうならないとおかしい」などの意見が寄せられています。
過去判例では控訴審で逆転 引用成立の可否が焦点に
今回の判決を受けてSNS上では、他者の投稿をスクリーンショットで共有する行為を控えるべきとの意見が広がっています。しかし、法的判断は必ずしも一貫しておらず、過去には上級審で判断が覆された事例も存在します。
2021年にも類似の訴訟が提起されていました。この事案でもTwitter投稿のスクリーンショット画像を転載された原告が、NTTドコモに対して投稿者情報の開示を求めました。
一審の東京地裁は投稿の著作物性を認め、プラットフォームに備わっている引用リツイート機能を利用せずにスクリーンショットで転載する方法は、著作権法が定める引用の要件を満たさないと判断しました。
ところが2023年の控訴審段階で、知的財産高等裁判所は一審判断を覆しています。投稿が著作物に該当するという認定自体は維持しましたが、「画像として添付する形での引用方法も、著作権法32条1項が規定する公正な慣行の範囲内に含まれる」との新たな解釈を示し、原告の主張を退けました。
この判例の相違は、スクリーンショット転載が「引用」として正当化されるか否かという論点において、裁判所間で見解が分かれていることを示しています。
著作権法は一定条件下での引用を認めていますが、その具体的な適用範囲については今後も議論が続く見通しです。



-150x112.png)








-300x169.jpg)