月形刑務所で年に一度のイベント「月形矯正展」施設見学やヒーローショーなど見どころが満載!

<目次>
月形矯正展とは

「月形矯正展」は年に一度、北海道にある月形刑務所の主催により開催されるイベントで、今年で38回目です。矯正展は、地域住民に刑務所というものはどんな施設なのか、どんな取り組みをしているのか、理解を促進することが目的です。
毎年、さまざまなゲストを招き、夏祭りのように地域住民が楽しめるイベントにしながら、刑務所で作られている製品の販売も行っています。今回は2,000人近い来場者が訪れ、大盛況の中で幕を閉じました。
月形矯正展の目的
「月形矯正展」は、出所者の再犯を防ぐため、各矯正施設の取り組みや矯正行政が果たしている役割を多くの人に知ってもらい、矯正に関する理解を多くの人が深めることで、各地域における出所者の受け入れ体制が整いやすくなり、新たな犯罪を生じさせない安心・安全な社会の実現を目指しています。
月形矯正展のイベント内容
<月形矯正展の内容>

- 樺戸太鼓(月形小学校)
- ガッターレンジャーショー①
- YOSAKOIソーラン演舞(北海道医療大学~桜雅~)①
- トークショー(一日所長 野見山 大氏 など)
- 楽曲演奏(駒大苫小牧高校吹奏楽局)
- 矯正護身術演武
- 動物愛護団体講演
- ガッターレンジャーショー②
- YOSAKOIソーラン演舞(北海道医療大学~桜雅~)②
- SIT Band演奏(札幌国際情報高校吹奏楽部)
多種多様なイベントや出展が揃い、さまざまなイベントを楽しむことができます。
月形矯正展の様子

2025年9月6日(土)に開催された「月形矯正展」は、曇り模様の中スタート。開場前から200人以上の来場者が行列を作るなど、開始前から賑わいました。
オープニングセレモニーには、月形刑務所長、廣田肇氏、典獄(旧刑務所長)の服装を身にまとった刑務所職員、行列に並んだ1番目の来場者、一日所長を務めたSTVアナウンサー野見山大氏がスペシャルゲストとして登場し、テープカットを行いました。
食欲をそそるキッチンカーが勢揃い

今年の月形矯正展には、キッチンカー8台の出店があり、多種多様なグルメが販売され、会場内はとても賑やかな雰囲気に包まれました。


北海道の唐揚げであるザンギ、焼きそば、かき氷、クレープ、チョコバナナといった屋台の定番メニューから、月形牛を使ったソーセージを挟んだホットドッグ、肉巻きおにぎり、ホットサンド、五平餅、みたらし団子など、変わり種のメニューも多数揃っていました。

ザンギは、衣がカリッと音を立てるほど香ばしく、中の鶏肉はふっくらジューシー。下味の醤油とニンニクが食欲をそそります。

ミートホットサンドは、こんがりと焼き目がついたパンに、新鮮なレタスと、トマトソースを絡めたミートが詰まっていて食べ応えは抜群。ひと口かじると、まずシャキシャキとしたレタスの瑞々しさが広がり、その直後に濃厚なミートソースが口に広がります。

みたらし団子とアイスというありそうでなかった組み合わせ「ばにらし」は、甘じょっぱいタレが絡んだカリカリのみたらし団子にアイスを絡めて食べると、アイスとみたらしの甘さが暑い日差しで火照った体を冷ましてくれます。あえて硬めに作られた団子の食感も楽しく、今までにない新感覚なスイーツでした。

また、月形矯正展の名物でもある地元の野菜販売が今回も開催されました。枝豆が300g250円、強い甘みが特徴のブランドトマト「桃太郎」が500gで150円。特にじゃがいも(北あかり)が3kgで300円と特売。お買い得な価格で来場者がこぞって購入していました。

開場と同時に、多くの人々が安い野菜を求め、販売しているブースには行列ができるほどの人気。昼頃にはトマトやジャガイモは完売するほどで、賑わいを見せました。

メインステージ休憩スペース休憩スペースが設けられ、多くの来場者がゆったりと利用できるようになっています。キッチンカーや販売ブースで購入したものを楽しむ方が多く見られました。

安くて品質の良い製品を。刑務所作業製品「CAPIC」の魅力

メインブ-ス横では、月形刑務所で制作された受刑者が木工・革製品・家具・日用品などを製作する「刑務作業」の成果を販売するCAPICが出店。会場は多くの来場者でにぎわい、活気に包まれていました。

人気の商品である木皿をはじめ、木の温もりを感じさせる家具や、丁寧に仕立てられた鞄、職人技が光る陶器の皿など、多彩な商品がずらりと並びます。手に取って質感を確かめる人や、スタッフへ熱心に質問をする人の姿もあり、買い物を楽しみながら刑務所作業製品の魅力を実感できる空間となっていました。

矯正展ならではの大きな家具(ソファやタンスなど)や、木工製品も多く展示即売されています。実際に座り心地を確かめたり、自宅に置くスペースがあるかメジャーで寸法を測る人なども見られました

このほかにも、鞄やアクセサリー、バーベキュー用品、日用品など、多種多様な商品が販売されています。

どの製品も品質が高く、丈夫でありながら、リーズナブルな価格なので、多くの品が品薄になっていました。

自分を知ることができる性格検査テスト

刑務所内部に設置された性格診断コーナーでは、刑務所で実際に行われる性格検査を基に作成された簡易版を無料で体験できます。質問に「はい/いいえ」で回答していくことで自身の性格の特徴を知ることができるようになっています。

机に向かい、黙々と性格診断の質問に回答する来場者や、結果を見せ合って楽しんでいる来場者同士の姿も見られ、会場は穏やかな雰囲気に包まれていました。
地域住民やさまざまな団体で賑わうブース出店

今回の月形矯正展でも、地域住民や様々な団体で賑わうブース出店が行われました。目玉は、マセラティ、フェラーリ、ランボルギーニの超高級車3台が展示されるブースです。
普段目にすることがない車たちを一目見ようと多くの人々が集まり、車好きな人々が写真を撮影していました。

自衛隊ブースでは、自衛隊の発射機搭載車とレーダー車両を展示。まるで実際の部隊展開の様子を再現したかのような、圧倒的な存在感に、多くの来場者が足を止めていました。普段なかなか見ることができない自衛隊車両を間近で見ることができる貴重な機会に、喜ぶ子供たちや、自衛隊に車両について積極的に質問をする方も見受けられました。

保護猫ブースでは、認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会が、保護猫を減らしていく活動の啓もうとして、飼い主の募集やペットフードの販売などを行っていました。

実際に、飼い主募集中の保護猫が3匹が会場に登場。餌やり体験が可能になっています。保護猫3匹のうち1匹に、里親が見つかったというアナウンスがされると、会場では拍手が起こっていました。

その他にも、更生保護への理解と協力を得るための社会運動に力を入れる月形更生保護女性会のブース、特定非営利活動法人サトニクラスで、地元で取れた野菜の漬物販売など、多種多様なブースが設置され、それぞれ大きな盛り上がりを見せていました。

スペシャルゲストも登場。ステージイベントで盛り上がる
矯正展のメインステージでは、一日所長を務める野見山氏のスペシャルトークショーが開催。出演している『どさんこワイド朝』に、何時に起きて準備するのかという、プライベートな話題から、地元福岡の学生時代の同級生との偶然の再会、月形刑務所の現所長と月形刑務所の歴史を振り返るなど、ここでしか聞けないトークに花を咲かせました。

また、今回の月形刑務所ではトークショー以外にもさまざまなステージイベントが催されました。ガッターレンジャーショーでは、月形刑務所のヒーロー『ガッターレンジャー』が、ステージで強敵と一進一退の攻防を繰り広げます。

強敵の正体はレンジャーブラックの兄だったというストーリーが展開され、戦隊ファンがカメラを構えて、戦いの行く末を見守ります。最終的には、友情パワーでバズーカ砲を発射。見事難敵をうち倒し子供たちやファンから拍手が起きる大団円で幕を閉じました。

ショーの後は、子供たちに囲まれながらバッジをプレゼント。握手や写真撮影にも応じるファンサービスに、多くのファンが喜びました。

ガッターレンジャーの後は、刑務官といった日本の矯正職員が専門的に修得する『矯正護身術』の演武が披露されました。

実際の刑務官が受刑者に襲われた時に、どのような対処をするのか相手の出方によって、倒し方が変わるという事を実演で披露。大きな体の男性も華麗に床に倒れていく様子に会場から拍手が起きました。
そこに、長い武器を持った暴君が乱入。突然の出来事に会場は騒然となりましたが華麗な手さばきで武器を奪い返り討ちに。

暴君はツキガッターレンジャーに運ばれ、月形刑務所の平和が保たれました。

演舞のステージでは、北海道医療大学~桜雅~によるYOSAKOIソーラン節が披露されました。息の合った演舞と衣装の早着替え、観客との近い距離感で迫力のある舞を見せ、それを盛り上げる掛け声につられるように会場も盛り上がっていました。

マーチングバンドの演奏には、道内から2つの学校が登場しました。

田中将大投手が巻き起こした駒苫旋風の際、甲子園のアルプスで演奏を響かせた『駒大苫小牧高校吹奏楽局』が参戦。
全道大会に出場して銀賞も獲得し、近年では海外にも進出した本格的フルマーチングバンドの演奏で会場は大盛り上がり。指揮者や演奏者のMCや、曲に合わせた掛け声、音楽と動きの調和のとれた迫力ある演奏に、ひと際多くの観客の注目を集めました。
マーチングバンドの2校目で、月形刑務所矯正展のトリを飾ったのは札幌国際情報高校吹奏楽部『SITBand』の2年生主体チーム『team “Green 30th”』。

踊りながら演奏する「Dancing & Playing」通称「ダンプレ」というスタイルを確立して北海道発祥の新しい文化を発信。演奏ではなく『ライブ』と呼ばれ、振付や動きを織り交ぜた新感覚のマーチングとして、北海道では幾度となく取りざたされている人気吹奏楽部です。
演奏しながら行進をしたのち、ステージで、激しい踊りやパフォーマンスを次々に披露しながら観客を巻き込み、盛り上がりを見せました。
実際に月形刑務所の中に入り、受刑者の部屋を見られる

今年も施設見学が実施され、実際に刑務所の内部を見学することができました。見学前には動画で中ではどんな作業が行われているのかわかりやすく紹介。

動画を見終わった後は、実際に刑務官が内部を案内し、どんな作業が行われているのかを各フロアで解説します。気になったことがあれば、近くの刑務官に質問でき、見学者からは「へ~!」「知らなかった」といった感嘆の声が聞こえてきました。

実際の作業場に入ると、金属製品の加工に使われている大きな機械が立ち並んでいます。

また、今回は生活スペースにも立ち入りができ、普段見ることができない浴場や、受刑者が入る単独室も開放されていました。

普段は滅多に目にできない環境を体験できる貴重な機会に、多くの見学者から喜びの声が聞こえました。
矯正に関する取り組みについて

矯正展では、刑務所で行われている教育・職業訓練、更生プログラムを広く地域住民に知ってもらうことを目的とし、広報活動の一環としてパネルを展示しています。特に、拘禁刑や受刑者の社会復帰や再犯防止への取り組みを紹介し、パネルを通じて、来場者は刑務所内の活動や刑務所外での社会貢献の取り組みについて知ることができます。

月形刑務所の大倉氏によると、受刑者は社会復帰に向けて日々さまざまな取り組みを行っているといいます。社会貢献作業として除雪に参加したり、外部通勤作業として月形町内の事業所におもむき、地域の名産品であるトマトジュースの製造に携わったりすることもその一例です。
こうした活動を通じて受刑者は更生の機会を得ると同時に、地域とのつながりを築いています。大倉氏は「社会復帰を進める上で地域の理解は不可欠であり、その思いを矯正展で少しでも感じてもらいたい」と話しています。
出所者が再び刑務所に戻らないようにするため、矯正施設では再犯防止に向けた施策を積み重ねています。社会復帰を円滑に進めるには、刑務所側の努力だけでなく、地域社会の支援も欠かせません。矯正展は、そうした矯正行政の取り組みを理解してもらい、支援の輪を広げるために開催されているのです。

月形刑務所について
昭和58年4月、中野刑務所の廃庁に伴い、誘致のあった刑務所ゆかりの月形町に月形刑務所が開設され、今日に至っています。
木工作業では、カッティングボード、Woodplate(木皿)等の木製小物製品を生産し、金属作業では、角なべ、小型鉄板等を生産して全国に供給し、人気を集めています。さらに、農作業でトマト栽培を行うなど、地域の特性を生かした作業運営を目指しています。
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00050.html
月形刑務所の基本情報
最寄駅は、JR北海道医療大学駅。駅から車で20分ほどの距離です。
所在地
〒061-0595 北海道樺戸郡月形町1011
交通手段
- JR北海道医療大学駅から月形当別線バス月形駅行き「月形駅」下車徒歩25分
- 月形当別線バス「月形駅」から月形浦臼線浦臼駅行き「刑務所前」下車徒歩5分
TEL 0126(53)3060
FAX 0126(37)2103
刑務所作業製品の展示場を併設しています。展示品の販売も行われています。
〇営業時間
9時~12時15分、13時~15時45分(土日祝日を除く)
〇展示・販売製品
月形刑務所で製作された木工製品、洋裁製品、印刷製品、金属製品、窯業製品をはじめ、全国の刑務所から集められた様々な刑務所作業製品が展示されています。















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