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弱った体に活力を与える自然の恵み 滋養強壮剤に含まれる生薬
- 2025/10/26
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- 滋養強壮, 生薬
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「夏バテで食欲がない」「しっかり寝ても疲れが翌日まで残る」といった体のサインを感じていませんか?
対策として栄養ドリンクや滋養強壮剤を手に取る方もいるかもしれません。しかし、「滋養強壮」という言葉の正しい意味や、含まれている生薬(しょうやく)の正体まで知っている方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、滋養強壮の基本から、働きを支える生薬の世界までを分かりやすく解説します。自然の恵みである生薬について知ることで、ご自身の体調に合った、より良いセルフケアのヒントが見つかるでしょう。
滋養強壮とは?薬膳との関わり
栄養豊富なものを取り入れて体の基礎を作り、活力を高めて丈夫な状態を目指すのが滋養強壮の基本です。滋養強壮についての考え方は、日々の食事によって体の調子を整え、健康を維持する中国の伝統的な食養生の考え方に基づく薬膳と深く関わっています。例えば、古くから「山のうなぎ」と呼ばれるほど精がつくことで知られるヤマノイモも、漢方の世界では山薬(さんやく)という立派な生薬の一つです。私たちの身近な食材にも、滋養強壮の知恵は息づいています。
滋養強壮剤に含まれる自然由来の生薬と原料
市販の滋養強壮剤の多くには、自然界の動植物や鉱物などを原料とした生薬が配合されています。私たちの体を内側から支えてくれる生薬について、植物由来と動物由来に分けて、代表的なものを紹介します。
1.植物由来の生薬
植物由来の代表として、ニンジン・イカリソウ・ナツメを紹介します。
①ニンジン(人参)
滋養強壮を代表する生薬といえば、高麗人参や朝鮮人参としても知られるニンジンです。薬用として使われるのは根の部分で、皮をむいて乾燥させたものがハクジン(白参)、湯通しして乾燥させたものがニンジン、皮つきのまま蒸して乾燥させたものがコウジン(紅参)となります。
古くから体力が低下して、疲れや食欲不振を感じる人の元気を補い、病気を予防する目的で重宝されてきました。生薬の王様とも呼べる存在です。
②イカリソウ(淫羊藿)
滋養強壮ドリンク剤の成分表示でよく見かける生薬がイカリソウです。中国では「老人が口にすると杖を放り出すほど元気になる」という意味から放杖草という別名もあります。
春に白や紫の可憐な花をつける多年草ですが、見た目とは裏腹に、力強い強壮・強精作用が期待されています。
③ナツメ(大棗)
漢方の世界ではタイソウ(大棗)と呼ばれているナツメの甘さは、生の葉を口に入れて噛み、その後で、砂糖を口にしても甘味を感じないほどだと言われています。
滋養強壮や精神安定などの作用の他に、副作用緩和のために、カッコントウ(葛根湯)やショウサイコトウ(小柴胡湯)など90処方に配合され、漢方処方における名脇役とも言える存在です。
2.動物由来の生薬
動物由来の生薬には、ハンピ・ロクジョウ・ゴオウがあります。
①ハンピ(反鼻)
ハンピの原料は、首を切り落とされた胴体が1時間あまりも動いているという驚異的な生命力を持つマムシです。内臓や皮を取り除いて乾燥させ、棒状に加工したものが使われます。マムシが持つ生命力を体内に取り入れたいという願いから、古くから滋養強壮の目的で利用されてきたと考えられています。また、マムシの胆のうを乾燥させたジャタン(蛇胆)も重宝される生薬の一つです。
②ロクジョウ(鹿茸)
中国東部などに生息するマンシュウアカジカの角を原料とする生薬がロクジョウです。シカの雄の角は、生後2年目の春から生え、毎年生え変わります。骨化する前の初夏に切り、加工乾燥させて使いますが、一般に先端部ほど質がよいと言われています。
ロクジョウはコラーゲンやカルシウムなどを豊富に含み、発育促進や強心作用などが期待されている生薬です。
③ゴオウ(牛黄)
牛の胆のうに稀にできる結石(胆石)を乾燥させたもので、「牛1000頭に1頭」の割合でしか見つからないと言われる、非常に希少で高価な生薬です。体に活力を与える強心作用をはじめ、肝機能を高める作用など、働きは多岐にわたります。希少なため、特に高価格帯の滋養強壮剤に配合されています。
エナジードリンクと滋養強壮剤の違い
疲れた時に頼りたくなるドリンクには、エナジードリンクと滋養強壮剤がありますが、両者は全く異なるものです。
エナジードリンクは、日本の法律上、清涼飲料水、つまり食品に分類されます。主な成分はカフェインや糖分、アミノ酸などで、一時的に眠気を覚ましたり、脳のエネルギー源を補給したりするのが主な目的です。あくまで食品なので、疲労回復といった効能・効果をうたうことはできません。
一方、滋養強壮剤は、厚生労働省から効能・効果が認められた医薬品や医薬部外品に分類されます。生薬やビタミンなどが有効成分として配合されており、体の内側から栄養を補い、滋養強壮や「肉体疲労時の栄養補給」といった効果が期待できます。医薬品であるため、用法・用量を守って服用しなければなりません。
シャキッとしたい一時的な場面ではエナジードリンク、根本的な疲れをケアしたい場合は滋養強壮剤、というように目的や状況に応じて使い分けることが大切です。
自分の体と向き合い、適切な選択を
この記事では、滋養強壮の基本と、滋養強壮の働きを持つさまざまな生薬について解説してきました。仕事や家事で「もうひと頑張りしたい」という時、滋養強壮剤は心強い味方になってくれる有効な選択肢の一つです。
しかし、大切なのは、医薬品やドリンクだけに頼りすぎないことです。もし体の不調が長く続く場合は、疲れがどこから来ているのか、一度立ち止まって考えてみましょう。バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動といった生活習慣の見直しこそが、健康な体づくりの基本です。
どの製品を選べば良いか分からない時や、体調に不安がある場合は、自己判断せずに医師や薬剤師、登録販売者といった専門家に相談しましょう。自分の体としっかり向き合い、自然の恵みも上手に活用しながら、健やかな毎日を送ってください。
参考文献
佐藤製薬.ユンケル.生薬のご紹介
大阪医科薬科大学.薬用植物園 お花紹介
生薬一覧 – 日本漢方生薬製剤協会
大木製薬.6年根高麗人参、歴史ある大地のめぐみ。




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