猫をモチーフにした木工製品が話題に。尾道刑務所が開催する「おのみち矯正展」体験レポート

おのみち矯正展

広島県の尾道駅前にて「おのみち矯正展」が開催されました。刑務所で開催されることの多い矯正展ですが、「おのみち矯正展」は駅前へと開催場所を変更して3回目となります。1万人以上が訪れた「おのみち矯正展」をレポートします。

<目次>

初犯の男子受刑者を収容する尾道刑務支所

尾道刑務支所は、犯罪傾向の進んでいない初犯の男子受刑者を多く収容する刑務所です。2024年11月から日本で唯一、受刑者の更生に向けた「保護犬育成プログラム」を実施しています。このプログラムでは受刑者と保護犬が寝室をともにする宿泊訓練を実施。受刑者は飼育を通して心を通わせるよう努め、保護犬は人に慣れ里親の元へいけるよう訓練を重ねます。

また、塀がない有井構外泊込作業場があり、現在も約8人の受刑者が生活しています。一般的な刑務所より逃走のリスクは高くなりますが、開設から現在に至る57年間で該当する事案は発生していません。社会の一員としての自覚を育み、再犯を防止する観点から地域の地域住民の理解を得ながら作業に取り組んでいます。

矯正プロジェクトと連動した保護犬譲渡会が開催

矯正プロジェクトと連動した保護犬譲渡会

今回、保護犬の譲渡会には「ピースワンコジャパン」が初めてブースを出展。同団体は犬の殺処分ゼロを目指しており、広島県を含めた全国に拠点を構えています。

そこで管理されている保護犬は尾道刑務支所の矯正プログラムにも参加。おのみち矯正展には、実際に受刑者と宿泊訓練を行っている茶色の雑種犬・ロバートを含む3頭が来場していました。この取り組みはテレビ局が密着取材を行っており、矯正展でも来場者と触れ合う様子を撮影していました。

さらに、矯正展ではカレンダーやエコバッグ、ハンカチなどの保護犬グッズも販売するほか、募金活動も行っていました。そこで得られた収益は、今後の保護犬活動に充てられます。

保護犬・保護猫譲渡会

今年で2回目となる保護猫譲渡会も開催されていました。保護猫譲渡会を行うのは「STEP☆Dog&Cat」。尾道市で「おのみち保護猫cafe ねこのみち」を営むボランティアの活動団体です。ボランティアの自宅で保護猫を預かってお世話をし、譲渡会などを通して貰い手へ繋ぐ役割を担っています。

前回の矯正展では新たな家族が見つかった猫もいたそうです。チャリティーバザーも同時開催しており、収益は保護猫の医療費となります。

猫をモチーフにした製品が人気を集めた展示即売会

刑務所作業製品のブース

刑務所作業製品のブースには、尾道刑務支所のほかに、岡山や鳥取、松江、広島、岩国など中国地方を中心に9つの刑務所が出店していました。

おのみち矯正展の尾道刑務支所の売れ筋刑務所作業製品

尾道刑務支所での売れ筋商品は、猫をモチーフにした多段式の木製スタンドと下駄だそう。また、「ねこのねどこ」は、ガーデニング用品を整理するのに便利とのこと。屋内だけでなく屋外でも使えます。

おのみち矯正展で尾道刑務支所の売れ筋刑務所作業製品、猫のスタンド

木工製品も充実しており、収納ケースは釘などを一切使わない組み方で作られているのが特徴。レーザーを使って猫のデザインを描いており、作業に技術の習得が必要となります。

猫のデザインを作るようになったきっかけは、尾道市が猫の町として知られるようになったことから。新製品のデザインは毎年考案しており、数年前に猫をモチーフにした木工製品を販売したところ、反響が大きかったことから定番化に至ったそうです。今後も新たなデザインは都度検討を続けていくといいます。

子どもが楽しむワークショップや歴史のあるバザーも

おのみち矯正展の保護司の展示会場

保護司の展示会場では、トートバッグを使ったワークショップやぬり絵が開催されていました。尾道市には71名の保護司がおり、予防啓発活動にも力を入れています。おのみち矯正展のコンセプトが「社会を明るくする運動 犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ」となっており、地域に活動を知ってもらうきっかけ作りに尽力しています。

おのみち矯正展で尾道地区更生保護女子会が販売したさつまいものフライ

また、尾道地区更生保護女子会では、古着や日用品のバザーのほか、うどんやおにぎり、さつまいものフライなどの飲食を販売。このバザーやうどんの販売は20年以上続いています。

さつまいものフライは、尾道地区更生保護女子会のスタッフが育てて収穫したものを材料にしているのだそう。さつまいものやわらかい食感と程よい甘さが人気で、この日も次々と売れていました。

おのみち矯正展で先着100名に来場者プレゼントとして配布されたブルースティック100個

その他にもおのみち矯正展では先着100名に来場者プレゼントを配布。この日用意されたブルースティック100個は、開場1時間もたたないうちになくなりました。

おのみち矯正展の「おのみちてしごと」ブース

会場内には「おのみちてしごと」のブースもあり、ビーズを使ったアクセサリーなどのワークショップが開催されていました。手作りのガラス細工を使った花瓶や風鈴を販売しており、子どもも大人も楽しめるエリアとなっていました。

受刑者の新聞を展示した広報スペースも見どころ

おのみち矯正展の受刑者の新聞を展示した広報スペース

尾道刑務支所の広報展示スペースには、受刑者が書いた新聞が展示されていました。尾道刑務所の受刑者は月に1回、事件や償いなどのテーマで作文を書いています。その中から職員が5名程度の作文をピックアップし、所内で作っている新聞に掲載。

選ばれた作品は刑務官のコメントとともに掲載され、受刑者も読むことができます。受刑者の中には作文を選ばれるために頑張って書いている人もいるそうで、モチベーションの向上にも寄与しています。

おのみち矯正展のパトカーと白バイの試乗体験

入場口すぐの場所では、パトカーと白バイの試乗体験が開催されていました。パトカーは拡声器を使用することもできて、「そこの車停まりなさい」など、模擬の呼びかけを楽しむ大人の姿も多く見られました。

おのみち矯正展の広島少年鑑別所のブースの性格検査

広島少年鑑別所のブースでは、性格検査が受けられます。簡単な設問に答えると自分の性格の傾向が機会により判定されます。このような設問は、実際に少年犯罪の現場でも使われることがあるそうです。

受刑者の更生を信じる力を広めるための矯正展

おのみち矯正展の様子

おのみち矯正展について、尾道刑務支所次長の山元さんは次のように語りました。

「受刑者の更生を信じるためには地域の協力が欠かせない。矯正展は受刑者にとって必要な活動である」

おのみち矯正展は、多くの観光客が尾道駅に集う「尾道 ベッチャー祭」の同日に開催しており、矯正展が目当てではない観光客や地元住民も立ち寄ります。海を背に穏やかな時間が流れる矯正展でした。

尾道刑務支所の基本情報

最寄り駅はJR山陽新幹線「新尾道駅」。駅からは車で5分程度の距離にあります。

所在地
〒722-0041 広島県尾道市防地町23-2

交通手段
●JR山陽新幹線「新尾道駅」下車車3分
●JR山陽本線「尾道駅」下車市営バス三美園行き「北久保」下車徒歩3分

〇尾道刑務支所
お問い合わせ
0848-37-2417

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丸山希商業ライター

投稿者プロフィール

愛媛県出身・広島県在住。
FP2級を保有しており金融記事・ライフスタイルコラムが得意。

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