ホンダと日産自動車が、経営統合に向けた本格的な協議を開始することが明らかになりました。両社は2025年6月の最終合意を目指し、持ち株会社を設立してそれぞれの会社を傘下に収める方針です。
統合後の新会社では、ホンダが主導的な役割を担い、社長はホンダ指名の取締役から選出されるとのことです。両社は統合によるシナジー効果を最大限に発揮するため、車両プラットフォームの共通化や、ハイブリッド車・EVの相互補完、ソフトウエアやEV開発での連携強化などを進めていく計画です。
ただし、日産の業績回復が統合の前提条件となっており、経営再建の進捗が課題となりそうです。また、三菱自動車工業の統合参加の可否についても、2025年1月末を目処に判断されることが注目されています。
世界的に電動化・ソフトウェア化が進む自動車業界において、ホンダと日産の統合は、テスラやBYDといった新興勢力に対抗するための布石といえるでしょう。両社の強みを生かした相乗効果の創出が、今後の競争力強化の鍵を握ることになりそうです。
研究開発機能を統合し、新領域での開発スピードを加速
統合後は、幅広い車種でプラットフォームの共通化を図ることでコスト削減を目指すとともに、互いが保有するEVやハイブリッド車などの商品を相互に補完し、グローバルな消費者ニーズへの対応を加速させていく方針です。
さらに、研究開発機能の統合により、車載OSやEVといった新領域での開発スピードを加速し、コスト削減にも取り組みます。加えて、両社の工場の相互利用による稼働率向上で固定費を大幅に削減し、購買機能の統合と部品の共同調達にも注力するとのことです。
2023年度の決算では、ホンダが売上20兆4,288億円、営業利益1兆3,819億円、日産が売上12兆6,857億円、営業利益5,687億円を計上しています。経営統合により、売上30兆円、営業利益3兆円超の世界トップクラスのモビリティーカンパニーの実現を目指します。
両社は2025年6月の最終合意を目指し、2026年4月に臨時株主総会を開催する予定です。2026年8月には、持ち株会社の株式を東京証券取引所のプライム市場に上場する見通しです。
一方、日産の筆頭株主であるルノーは、「両社の協議は初期段階であり、主要株主として日産と協議しながら、ルノーとその利害関係者の最善の利益に基づき、あらゆる選択肢を検討していく」と表明しています。