東京債券市場では、31日に新発10年物国債の流通利回りが一時0.605%まで上昇しました。これは2014年6月以来、およそ9年ぶりの高水準を示すもので、長期金利の動向に大きな注目が集まっています。
長期金利とは、1年以上の期間で金融機関が貸し出す際の金利のことです。短期金利は日本銀行の金融政策などにより決まる一方で、長期金利は長期資金の需給関係を主に考慮して決定されます。物価の変動や短期金利の推移など、長期的な経済動向が影響を与えるとされています。
長期金利が一時0.605%まで上昇したのは、日本銀行が28日に金融政策決定会合で決定した「長期金利が0.5%を超えることを容認する方針」が強く影響しています。その方針を公表した同日、流通利回りは一時0.575%まで上昇しました。
約5ヶ月ぶりに0.5%の上限を超え、その日の終値は0.540%となりました。市場関係者は「市場は日銀がどこまでの上限突破を容認するか試している」と語り、今後さらに金利が上昇するとの見方を示しています。
大手銀行は8月から住宅ローンの固定金利を上げる方針
長期金利は「経済の基礎体温」とも言われ、景気の良し悪しを反映する傾向があります。つまり、景気が悪化すれば金利は下がり、景気が上向けば上がるという特性を持つため、その動向は経済全体の状態を示す重要な指標となるのです。
このような背景から、今後の長期金利の動きが市場から注目されています。また、長期金利の上昇を反映し、大手銀行は8月から住宅ローンの固定金利を上げる方針です。
10年固定のローンで最も優遇する場合の金利について、三菱UFJ銀行は年0.78%(0.09ポイント上昇)、三井住友銀行は年0.89%(0.1ポイント上昇)、みずほ銀行は年1.2%(0.05ポイント上昇)となります。
日本銀行は長期金利の上昇を容認し、より柔軟な金利操作を決定しましたが、この決定は大手3行の今回の引き上げには反映されていないとのことです。しかし、長期金利の大幅な上昇により、今後の固定金利に影響が出る可能性があります。
長期金利が一時0.605%まで上昇したことについて、ネット上では「確かに数字だけを見ると、資金調達コスト上昇による経済への影響が心配になりそう」「住宅ローンは十分に心配だが、もっとも心配なのは国債の暴落」「海外での金利上昇からしたら全く影響のない小さな動きでしょ」などの意見があがっています。