大手回転寿司チェーンのスシローが、醤油差しを舐めるなどの迷惑行為をした少年に対して、約6,700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴していたことが判明しました。提訴したのは運営会社「あきんどスシロー」で、3月22日付けとのことです。
訴状では、1月に少年が岐阜市のスシロー岐阜正木店にて、卓上の醤油ボトルの注ぎ口を舐めたほか、湯飲みを舐めたあとに未使用の置き場に戻したりなどをしました。この迷惑行為の様子を撮影した動画が1月29日にSNSで拡散され、全国の店舗で客が大幅に減少したとされます。
その被害は客足の減少だけにとどまらず、1月31日には親会社の株価が約5%低下し、1日でおよそ160億円以上の経済的な価値が失われました。スシロー側は損害として、醤油ボトルの入れ替え費用、衛生管理の信用が損なわれた被害などを主張。さらには、迷惑行為を防ぐためのアクリル板の設置などの対策を進めており、請求額はさらに増える可能性があるとのことです。
少年の行為に対し、訴状では「各店舗の衛生管理に疑念を生じさせ、多くの客に著しい不快感、嫌悪感を与えた。影響は深刻で、この問題を放置できない」と主張しています。その一方で、少年側は「反省の日々を送っている」と行為を認めた上で、「客の減少は同業他店との競合も考えられる」と反論しました。5月に地裁に提出した答弁書で、請求棄却を求めています。
スシロー事件とは?SNS動画拡散からの経済的影響
インターネット時代の不適切な行為がビジネスに与える影響を具体化するものとして、スシロー事件が世間で注目を浴びました。軽い気持ちで投稿した1つの動画が、スシローに多大なる損害を与え、世間からのバッシングや批判を呼びました。
SNS上では迷惑行為の動画が至るところで拡散され、その動画の再生回数は数千万回を軽く超えています。その動画に対して、「もうスシローにいけなくなった」「汚い!ありえない!」などのコメントが多く寄せられました。
少年はSNS上だけでなく、テレビやニュースで大きく報道されたことで、SNSを利用しない人からも批判を浴び、さらにはスシローから約6,700万円もの損害賠償を請求されています。
この事例から、1人の不適切な行為が大きな組織に深刻な影響を及ぼす可能性が明らかとなりました。不適切な行為の拡散は、企業の財務だけでなく、その信用にも重大な影響を及ぼすことが示されています。