松井一郎前大阪市長がSNSの投稿内容で名誉を傷つけられたとして、タレントの水道橋博士氏に550万円の損害賠償を請求しました。それを受けた大阪地裁は16日、水道橋博士氏に110万円の賠償を命じました。
訴状などによると、水道橋博士氏は自身のTwitterで第三者が作成した松井一郎前大阪市長に関する動画を、引用リツイートをする形で紹介したとのことです。その動画のサムネイル画像には「維新の闇」「パワハラ」「強姦事件」など、松井一郎前大阪市長についてマイナス印象を与える文言が書かれており、水道橋博士氏は「下調べが凄い。知らなかったことが多い」とコメントを付け加えました。
あたかも事実であるかのような印象をユーザーに与え、投稿は削除されないまま残り続けました。16日までに4,000件以上のリツイートがされており、松井一郎前大阪市長側は「事実ではないのに過去に犯罪行為をしたかのような内容を、自身の影響力とインターネットを利用して拡散させたことは極めて悪質だ」と訴えています。
その意見に対し、水道橋博士氏は「政治家が市民の発言を抑え込もうとするスラップ訴訟でやり方が横暴だ」と反論。この一連の流れで両者の争いがヒートアップし、大阪地裁による裁判にまで発展しました。
水道橋博士氏側に110万円の賠償命じる 「名誉棄損に当たる」
冨上智子裁判長は16日、水道橋博士氏側に110万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。判決では「投稿を見た人はサムネイル画像だけを見て、動画を視聴するとは限らない」として上で、「水道橋氏の投稿によって、松井氏がパワハラなどをしたことが事実であるかのように認識した読者が一定数おり、松井氏の社会的評価を低下させたことは明らかで名誉棄損に当たる」と指摘。
その一方で、「投稿の直後に松井氏自身が誹謗中傷やデマに対しては法的手続きを取ると返信ツイートをしていることから、被害の程度は一定程度防止されている」として、賠償額は110万円が妥当であるという結論で幕を閉じました。なお、双方とも法廷に姿を見せることはありませんでした。
その判決を受けた松井一郎前大阪市長は、「SNS上でデマを拡散して、人を誹謗中傷することは絶対に許せない」と述べ、続けて「今も名誉棄損されて、その被害に苦しんでおられる方がいる中で、今後このような事案がなくなることを強く望みます」とコメントしています。
この1件を受け、ネット上では「リツイートは名誉毀損のビラをばら撒く行為と同等」「事実かのように引用リツイートするのは厳に慎むべき時代になっている」「賠償金の支払いは当然」などの意見があがっています。