
楽天グループの赤字額が上場以来で最大を記録しました。楽天グループは14日に、2022年12月期連結決算(国際会計基準)を発表。
その決算によると、最終利益は3,728億円の赤字で、前期の1,338億円の赤字に比べて大幅に赤字額を更新しました。また最終赤字は4期連続であり、この赤字額は2000年に上場して以来で最大です。基地局の整備など、携帯電話事業への先行投資が重荷となったとされます。
楽天グループは楽天モバイルのほかにも、楽天市場や楽天カード、楽天銀行、楽天証券など、さまざまなサービスを手掛けています。楽天市場などのインターネットサービスでは、セグメント利益を782億円あげ、楽天カードなどのファンテック事業では987億円の利益をあげており、売上高にあたる売上利益は1兆9,278億円と過去最高でした。
これだけの利益をあげているのにも関わらず、楽天グループで3,728億円の赤字を作っているのは、楽天モバイルの携帯電話事業でセグメント損失を4,928億円あげているためです。
つまり、現在の楽天グループにおける赤字構造として、携帯電話事業以外の利益を楽天モバイルの損失ですべて吹き飛ばしているのです。楽天グループは最後発の携帯電話会社としてスタートし、全国に自前のネットワークを構築している最中なので、初期投資額がかさんで赤字額が莫大になるのは事業開始前から想定されていました。
楽天グループの会長兼社長を務める三木谷浩史氏は、「2023年はとにかく利益体制を確立する年。そののちに(エリアの)カバー率を向上、他社と遜色なくなったら2024年は加速していきたい」と、今後の目標と意欲を示しました。
「0円プラン」の終了により楽天ユーザーの離脱が懸念
楽天は2022年6月まで「1GBまで無料プラン」という大型キャンペーンを実施し、新規ユーザーの獲得に注力していました。結果、「無料だからとりあえず入ってみよう」という新規ユーザーを多数獲得。
しかし、2022年7月から「0円プラン」が終了することに伴う、楽天ユーザーの離脱が懸念されていました。10月末まではポイントバックキャンペーンが行われていたため、純粋な有料プランのユーザー数は11月から明らかになると注目されていました。
一通りのキャンペーンが終了した結果、多少のユーザー数の減少はあったものの、約9割以上のユーザーが有料プランに残っています。さらにその後の2022年12月、2023年1月にはユーザー数が微増しており、当初懸念されていた「0円プラン」終了に伴う激減は起こりませんでした。