米国のオクラホマ州に住む13歳の少年ウィリス・ギブソン氏が、テトリスの任天堂版を完全攻略したと米紙ニューヨーク・タイムズが報じました。2023年12月21日に自宅でこの偉業を成し遂げたウィリス・ギブソン氏は、レベル157に到達した時点でゲームがクラッシュし、得点は表示限界の「999999」に達しました。これは過去に人工知能(AI)だけが到達していた水準です。
YouTubeに投稿された映像によると約40分でこのレベルまで到達しており、プレイ中に突如画面が静止し、「なんてことだ」と叫ぶ姿が映されています。ボタンを押し続けたことで、指の感覚を失っていたとのことです。
2011年まで、プレーヤーが到達できる最高レベルは29とされていましたが、その後プレーヤーたちはより高いレベルを目指し、「ハイパータッピング」「ローリング」などの技術を編み出してきました。ウィリス・ギブソン氏自身は、2023年のテトリス世界選手権で3位に入るほどの実力を持っています。
ネット上では、「そのパワーを別に活かせるとよりよい社会になるかも」「無駄に見ちゃったけど、リアクションがまた良かった」「何事も極める事は凄いこと」などの意見がみられました。
テトリスは1984年に誕生|「遺伝子工学」からスタート
大人気パズルゲーム「テトリス(Tetris)」は1984年に誕生しました。テトリスを開発したのはアレクセイ・パジトノフ氏で、彼は当時ソビエト連邦の科学アカデミーで働くコンピュータ技術者でした。
古典的なパズルゲーム「ペントミノ」からインスピレーションを得て、初期版「遺伝子工学」というゲームを作成。より「中毒性」のあるゲームを目指し、ブロックが上から落ちてくる仕組みを考案しました。
さらに、横一列にブロックを揃えると消えるという革新的なシステムを導入することで、ゲームは新たな魅力を獲得しました。この中毒性の高さにより、ゲームをしていなくてもブロックが見える「テトリス・エフェクト」という言葉も生み出しています。
ハーバード大学の医学校が2000年に行った研究によると、テトリスを長時間プレイした被験者の63%が、実生活や夢でテトリスのブロックが見えたと報告しています。一方で、テトリスの持つ高い中毒性は、アルコールなどの依存症患者の欲求軽減やPTSD予防にも効果があるとされ、その治療効果に関する研究が何年も続けられています。