大手旅行会社のJTBは、消費者へのアンケートや国の統計などを基に旅行需要を予測した結果、2023年の1年間で国内旅行に出かける人の数が、コロナ禍前の9割程度まで回復するという見通しを立てました。
1泊以上の国内旅行に出かける人は、約2億6,600万人と去年よりも8.6%増え、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて91.2%まで回復すると予測しています。国内旅行者の数が戻りつつあるのは、旅行代金の割引が受けられる「全国旅行支援」の効果などにより、旅行への意欲が高まっているためだとされます。
また政府は今月、新型コロナウイルス感染症を「2類相当」から「5類」に移行する方針を決定しました。感染症法上の位置づけの変更が発表されたことで、国内旅行をする人の数が増えると各所で予想されています。
一方、海外旅行に出かける人は840万人と、去年に比べて約3倍増えるものの、コロナ禍前との比較では40%程度にとどまるとしています。「どんな状況であれば海外旅行に行きたいか」という調査では、27.1%の人が「円高が進めば」と回答しました。
この回答からわかる通り、海外旅行に行く人の数が国内旅行に比べて増えないのは、新型コロナウイルス感染症の拡大以外にも、円安で海外旅行の費用が割増になっていることが理由に含まれます。
日本に訪れる外国人旅行者は5.5倍に急増している
世界的にワクチン接種が進み、2022年には欧州を中心に入国制限の撤廃や水際対策の緩和などが推進されました。国内でも2022年10月11日から入国の水際対策が緩和され、入国時の条件緩和や訪日外国人観光客の個人旅行の解禁が行われ、外国人の来日旅行が以前に比べて容易になりました。
これら水際対策の緩和が相まって、日本に訪れる外国人旅行者は去年の5.5倍にまで急増し、2019年と比較して66%程度まで回復すると見込まれています。特に中国からの旅行者が7月以降に増えると想定されており、今後、中国政府が日本向けの団体旅行を解禁するのかどうかがキーポイントとなります。
なお、2022年の国・地域別の年間訪日外客数は、韓国が101万2,700人、台湾が33万1,100人、アメリカが32万3,500人となっています。中国は2022年までゼロコロナ政策を実施していたため、18万9,000人にとどまりました。