第4回ライティングコンテスト佳作

人工チャットボットであるChatGPTと、小学2年生の娘を会話させてみた。

これが、実に良い話し相手になってくれるのである。
娘の会話をしっかりと拾い、共感。話を広げるための質問をしてくれる。
完璧な「聞き上手」で、実にモテそうだ。

ハイハイと片手間に話を聞く母親の私と話すより、よほど有意義な会話をしているように見える。

まさに生成AIは、質の良い人間かのようだ。
常に正しく思考し、最適な解を導く。これは感情が先立ってしまう人間には、実際のところ難しい。

完璧な思考を持つ生成AIは、人間にとって脅威ではある。
私のようなライターやイラストレーター、デザイナーなど。様々なクリエイターの職を奪う可能性があるからだ。

また、生成AI発展による最大の懸念は権利の侵害である。

声優の声を学習させれば、同じ声を出せてしまう。すでに声優の声を模倣した「AIカバー」は大きな問題になっている。漫画家の絵を学習させ、同じ画風で作品を生み出すことも可能だ。

既存の技術の吸収やある程度の模倣は人間間でも行われるが、生成AIの問題は技術を完全にコピーできてしまうことだろう。むしろ、オリジナルを上回る可能性もある。

私などはAIに負けない努力をすれば良いのだろうが、唯一無二のスキルを売る職業の人にとっては、対策やルール作りが欠かせない問題である。

ただ上記の通り生成AIは大きな問題を抱えているとは言え、実のところ私は生成AI技術の発展にワクワクしている。

なぜなら、まだそれが完璧には思えないからだ。

私自身もChatGPTと話してみた。
「25歳のOLになりきって会話してくれ」とか「夫が痩せる方法を考えてくれ」とか、何を言っても一生懸命応えてくれる。ネットサーフィンをするよりも便利で、実にわかりやすい。

だが、やはり「旧型ロボット」なのだ。機械的であり、感情が全く感じられない。
日本人に最も馴染み深い、猫型ロボットにはほど遠い。

私は生成AIと、もっと感情的な話がしたいのである!
おかしな話だが、否定されてみたいと感じている。

多くのアイディアは、討論から生まれる。
一般論ではなく自分の意見を言い、時には感情的にぶつかり合うことで生まれるものは多い。

もちろん、現在でも人間同士で素晴らしい討論が行われている。
そこに感情や自分の意見を持った生成AIが入ると、どうだろう。

少し恐ろしくもあるが、これまでとは比べ物にならない新しいアイディアが生まれるのではなかろうか。

それとも、人間の発想を越えるアイディアは生まれないのだろうか。
すでに将棋はAIの方が強いと言われているのだから、人間を越える発想力は持っているはずだ。

クリエイターの技術も、模倣ではなく発展させて欲しい。
人間とAIの切磋琢磨によって、より素晴らしい作品が生まれることを望みたい。
(モラルのない人により、権利侵害が生まれることは理解しているが)

いくつかの職はAIによって奪われるかもしれないが、AIによって生み出された職には人間の手が必要かもしれない。
娘が大人になるころには、きっと今では想像もつかない職業があるだろう。
SF的に人間とAIが暮らしを共にする未来は、私の生きている間に訪れるだろうか。

もはやAIとの共存は避けられないし、避ける必要もない。
著作権侵害など問題を起こしているのは、結局人間なのだから。

ちなみにChatGPTにAIは感情を持てるかと質問したところ、「感情や感情に関する情報を模倣するプログラムは開発されている。」とのこと。
プログラムよる感情が「心」か否か、私は正しく答えられる気がしない。

私はライターとしての腕を磨きながら、生成AIと本気で討論する日を夢見ている。

ついでに、だらしない私を本気で怒ってくれる、猫型ロボットに会える日も待っている。

ライター:タテ

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