イスラエルとハマスの対立をめぐり、国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は、双方の指導者5人に対して逮捕状を請求する方針を明らかにしました。
イスラエル側では、ネタニヤフ首相とガラント国防相の2人が対象となっています。カーン主任検察官は、2人が戦争の手段として民間人を飢餓に陥らせたり、意図的に民間人を攻撃したりした戦争犯罪などの責任があると判断しました。
一方、ハマス側では、ガザ地区トップのシンワル指導者やハニーヤ最高幹部ら3人が対象です。2023年10月7日のイスラエルへの襲撃で民間人を殺害したり、少なくとも245人を人質にしたりした戦争犯罪などの責任があるとされています。
カーン主任検察官は、「国際法は全ての人に適用される。歩兵も司令官も政治家も罰を免れることはできない」と強調し、今後さらなる逮捕状を請求する可能性にも言及しました。ICCの予審裁判部は、検察官が提出した証拠などを検討した上で、逮捕状の発行を判断することになります。
ネット上では、「今回の件について双方に対する逮捕状の請求はバランスが取れてるな」「日本を初め米国やG7各国もどう対応するのか気になる」などの意見が寄せられています。
イスラエルとハマス、ICC検察官の決定に猛反発
イスラエルとハマスはそれぞれ声明を発表し、ICC検察官の決定に反発しています。イスラエルのネタニヤフ首相は20日の声明で、「ICCの検察官が大量殺人者であるハマスと民主的なイスラエルを対比したことを嫌悪感をもって拒否する」と主張しました。
一方、ハマスも声明を発表し、「被害者と死刑執行人を同等に扱おうとすることを強く非難する」と反発しています。アメリカのバイデン大統領も、イスラエルの指導者に対する逮捕状請求を「言語道断だ」と非難しました。
バイデン大統領はホワイトハウスでのイベントで、「イスラエルとハマスは同等ではない。いまガザ地区で起きていることはジェノサイドではない。われわれはそうした主張を拒絶する」と述べ、イスラエルの防衛を支援する姿勢を示しました。
ICCが逮捕状を発行すれば、加盟国は対象者を拘束し、裁判所に引き渡す義務を負います。これにより、ネタニヤフ首相らの外交活動が制限される可能性があります。イスラエルはICCに加盟しておらず、今回の決定に激しく反発し、捜査への協力は一切しない構えです。