8月15日、中国国家統計局は7月の主要経済統計の結果を公表しました。4〜6月期の数値が前年同期比6.3%増となり、市場の予想を下回る結果を受け、下半期に注目が集まっていました。
工業生産の成長率は、6月の4.4%から3.7%へと落ち込んでいます。この低下は、不動産市場の低迷や輸出の減少が影響しています。
また小売業の売上高は、去年の同月と比べて2.5%増となり、6月と比べて伸び率が縮小。主要分野が軒並み下落傾向にあることから、景気回復の勢い鈍化が指摘されています。
これに対し、中国国家統計局の付凌暉報道官は「世界の政治経済情勢は複雑で、内需は依然として不十分であり、経済回復の基盤を固める必要がある」と語りました。また、消費者物価指数も下落の兆しを見せる中、中国政府は「中国経済はデフレではない。将来もデフレにはならない」と明言しています。
しかし、不動産業界は難局に立たされており、「恒大ショック」を引き金に、一部の関連企業がデフォルトの危機を迎えています。特に、1〜6月と比べて7月の不動産市場のデータは悪化が顕著です。中国政府は不動産市場の安定を望むものの、解決の糸口はまだ見えていません。
中国国家統計局が「若年層の失業率」の発表を一時停止
国家統計局の付凌暉報道官は、「2023年8月以降、全国若年層など年齢別の発表を一時停止する」と発言しました。つまり、若年層の失業率の公表は一時的に停止となります。一時停止の背景として、付凌暉報道官は以下のような要因を挙げています。
- 経済や社会の変化に伴い、統計の方法論の更新や調整が必要となっている
- 教育の質向上と学びの時間が伸びていることから、若年層の統計の取り扱いに関してさらなる検討が求められている
しかし、中国政府の考えに対して「失業率が高止まりしているからでは?」「再公表のタイミングを見極めているからでは?」などの意見も寄せられています。
実際、6月の都市部調査失業率は5.2%で前月比横ばいでしたが、大卒者を含む16~24歳の同失業率は21.3%であり、2023年4月以降3ヶ月連続で過去最高を更新しています。若年層の失業率上昇は、社会不安や政治リスクにつながる可能性がある現象であるため、中国政府にとって不都合だったのかもしれません。
ネット上では、「中国が示す統計などの数値について信用できない」「失業者が増えて当たり前」「失業者が日本に出稼ぎにくるってことはないだろうな」などの意見があがっています。