広告詐欺を巡るMeta社日本法人との裁判 「広告の注意義務は負っていない」と主張
前澤友作氏らの名前を騙った詐欺広告を巡り、Meta社の日本法人を相手取った裁判が27日に神戸地裁で行われました。被害者はMeta社が運営するSNSに掲載された詐欺広告により、総額3,200万円以上の損害を受けたと主張しています。
被害者は神戸市や東京都に住む男女4人で、実業家の前澤友作氏やひろゆき氏になりすました広告にアクセスし、指定された口座に投資資金を振り込んだとされています。中には、15回にわたり合計2,165万円を振り込んだ人もいました。
原告側は、Meta社がSNS上の広告内容を調査・確認する義務を怠り、著名人の名前や写真を使った虚偽広告による投資詐欺が2023年初めから横行していたにもかかわらず、広告料収入を得ていたと非難しました。Meta社の日本法人に対して、約2,300万円の損害賠償を求めています。
27日午後3時半頃に行われた第一回口頭弁論では、Meta社側が答弁書を提出しました。「日本法人は詐欺広告の掲載主体ではないため、広告の注意義務は負っていない」「日本法人はFacebookやInstagramを運営しておらず、Meta社が運営している」と主張し、請求の棄却を求めました。
弁論後、原告側弁護団は会見を開いており、そこでは25日にMeta社本社に対しても提訴し、日本法人を相手にした裁判と併合して審理するよう求めたことを明かしました。Meta社がどのようにして広告内容の確認を行うのか、その注意義務が問われるこの裁判の行方に注目が集まっています。
ネット上では、「ネット広告の詐欺が最近特に酷いと思う」「広告収入は得るはその内容を信じて騙された人や勝手に名前を使われた有名人のことはどうでもいいというスタンスに取れる」「これは国のレベルで正式に抗議すべき」などの意見が寄せられています。
著名人を装ったSNS広告による投資詐欺が急増 前年度の9.6倍
著名人を装ったSNS広告による投資詐欺の相談件数が急増しています。国民生活センターは、昨年度に寄せられた詐欺被害の相談が1,629件で、前年度の9.6倍に急増していると発表しました。
被害の具体例として、60代の女性が著名な経済評論家を名乗る偽のSNS広告に騙され、1,500万円を振り込んだケースがあります。さらに、出金手数料として2,000万円以上を要求されました。
また、30代の男性は著名な投資家を装う偽広告を通じてグループチャットに誘導され、海外の投資会社に口座を開設。原油の先物取引に関する違約金として、1,100万円の振り込みを要求されました。
国民生活センターは、著名人の知名度を悪用した詐欺が横行しているとして、「著名人の広告を安易に信用せず、公式サイトや公式アカウントで確認すること」「個人名義の銀行口座には絶対に振り込まないこと」などの注意を呼びかけています。