
6月14日、日本バス協会の第97回定時総会が開催されました。会長の清水一郎氏は、業界が直面する課題と対策について語りました。
バス業界の最大の問題は、深刻な人手不足です。清水一郎氏は「貸切バスでは、修学旅行への対応ができないくらいの運転者不足になっている。修学旅行の時期が集中している問題もある」と指摘しました。
この問題に対し、前日の自民党バス議員連盟総会で、盛山正仁文部科学大臣に修学旅行の分散化を要望したことを明かしました。
運転者を確保するため、賃上げに向けた運賃改正やカスタマーハラスメント対策にも取り組む方針です。外国人運転者の雇用についても、「よい事例を世の中に示し、安心していただけるよう、準備している」と述べました。
また、自動運転については「やはり国家プロジェクト」と位置づけ、国の積極的支援を求めています。さらに、EVバス導入やキャッシュレス化に関して「投資が必要。特に地方ではなかなか進まない現実がある。国の支援をしっかりお願いしていきたい」と訴えました。
バス業界の未来に向けた取り組みが、今後どのように展開されるのかに注目が集まります。ネット上では、「バス会社側が需要ピーク時の修学旅行の応札を止めてしまえば、需要元の学校や文科省の方で少しは考えるようになると思う」「お盆や正月夏休み期間中に修学旅行なんて行けないし現実的じゃない」などの意見が寄せられています。
日本バス協会、「10年ビジョン」の中間とりまとめを発表
日本バス協会が、業界の未来を見据えた「10年ビジョン」の中間とりまとめを発表しました。このビジョンは、急速に変化する環境の中で、バス産業を魅力的で持続可能なものにすることを目指しています。
人材不足対策や働き方改革、EVバスの普及、自動運転技術の実用化、キャッシュレス化の推進、そして安全性の向上などが主要な焦点となっています。
清水一郎氏は「人々の生活や地域の基礎作りを支える努力を続けていることは、我々の誇り。現在のバス業界はもちろん、未来の従業員に向けてもメッセージを発信したい」と意気込みを語りました。
日本バス協会は同時に、2024年度の事業計画と予算も発表しました。特に、バス運転者の確保対策事業の拡充に力を入れています。政策要望決議では、バス運転者の確保に向けたさまざまな支援措置を盛り込みました。
10年ビジョンの最終版は年内に策定される予定です。バス業界が直面する課題に対し、長期的視点からの解決策を提示することが期待されています。