台湾のデジタル発展部長である唐鳳(オードリー・タン)氏の退任が決定しました。5月に就任する卓栄泰・次期行政院長が16日、別の専門家を起用することを発表しました。
唐鳳氏は2016年に史上最年少の35歳で政務委員(無任所相)として入閣し、以後、台湾のIT政策を牽引してきました。2022年に新設されたデジタル発展部の部長に就任しましたが、最近は与党や野党からの指導力への批判が増えていました。
具体的な批判内容としては、特殊詐欺やフェイクニュースへの対応不足が挙げられます。次期行政院長の卓栄泰氏は会見にて、唐鳳氏を留任させなかったことについて「内閣のメンバーは次から次へと交代し、発展のため優秀な人材を見つけ出すものだ」と述べました。
卓栄泰氏は新たな専門家をデジタル発展部長に起用すると発表し、新リーダーシップへの移行を図っています。ネット上では、「日本のIT大臣もこのくらい専門知識持ってる人が担当して欲しい」「日本国のIT大臣になってほしい」「頭が良くて賢い人は得てして政治家には不向きな人が多い」などの意見が寄せられています。
唐鳳氏はIQ180以上 「世界の頭脳100人」に選出
台湾のデジタル発展部長である唐鳳氏は、2020年の新型コロナウイルス感染拡大中に国際的な注目を浴びました。特に日本を含む多くの国でその名が知られるようになり、2019年には米外交誌による「世界の頭脳100人」にも選出されています。
IQが180以上と言われ、中学校以降は正規の教育を受けずに16歳でビジネスの世界に飛び込み、台湾史上最年少で大臣に就任するという異例の経歴を持ちます。
唐鳳氏は1981年に台湾の首都・台北市で生まれ、幼少期から先天性の心臓病を抱えていました。外で活発に遊ぶことができなかったため、家で父親の膨大な書物に囲まれて育ちました。
3歳で自ら読書を始め、子ども向けの百科事典を完璧に記憶するほど夢中になり、幼稚園時代には早くも集団生活に馴染めずに悩み、複数の幼稚園を経験しています。24歳でトランスジェンダーであることを公表し、名前を「オードリー・タン」に改名。
公共のために身を捧げることを決意し、デジタル政策の大臣として「オープンな政府」「誰も取り残さない社会」を目指す唐鳳氏の政策は、多くの国で模範とされています。