人気回転ずしチェーン「かっぱ寿司」の運営会社「カッパ・クリエイト」社長、田辺公己容疑者(46)が30日に逮捕されました。ライバルの「はま寿司」の営業秘密を不正に持ち出した疑いがかけられています。
2020年11月、田辺容疑者は取締役を務めていた「はま寿司」から「かっぱ寿司」に転職し、顧問となりました。田辺容疑者はこの時期の前後から、元同僚などを介して「はま寿司」の仕入れ価格などの営業秘密を、メールで受け取っていたと見られています。
田辺容疑者は30日午後4時半過ぎ、警察庁の捜査員と自宅を出ました。社長逮捕のニュースを聞いた「かっぱ寿司」の利用客は、「いくら自分の店が大事だからといって、やってはいけないこと」と述べています。
なお、社長就任直後の2021年7月から疑惑はすでに浮上していました。そして今回、警視庁は田辺容疑者と「はま寿司」時代の部下らも逮捕。「かっぱ寿司」の運営会社についても、書類送検する見通しです。
今年5月には毎日新聞の取材で違法性の認識を否定
今回逮捕された田辺容疑者は、毎日新聞の取材にて違法性の認識を一度否定しています。毎日新聞の取材に対し、営業秘密の情報入手を認める一方、「営業秘密に当たると思わなかった。(入手したデータは)そんなに活用できるものではない」と、違法性の認識を否定しているのです。
一方、ゼンショーの小川賢太郎社長は取材に対し、「売り上げや仕入れ価格は競争対策や出店戦略の基礎となり、重要な機密情報だ」と反論しています。この頃からすでに、各所で疑いの目が持たれています。
「かっぱ寿司」の業績とこれから
今回の事件が起こる前の運営会社「カッパ・クリエイト」は、コロナ禍にあった前期と前々期に抑制していた店舗の改装を4〜5倍に増やす見通しでした。また、過去の実績では改装後に売上が増えていることから、今期は改装効果と合わせて3期ぶりに営業黒字を目指す方針だったとされています。
そして、2024年3月期から2026年3月期までの3年間については、50〜60店の店舗改装を維持し、継続的な収益力の向上に取り組む予定でした。それに加え、非接触や省力化に対応した最新設備の導入、自動案内システムやスマホオーダーシステム、セルフレジ、テイクアウトロッカーの導入など、「かっぱ寿司」はこれから成長を遂げようとしていたのです。
しかし、今回の一件により「かっぱ寿司」の経営は大打撃を受け、これらの計画が大幅に変更されることが予想されます。「かっぱ寿司」もとい「カッパ・クリエイト」の今後の動向に注目しましょう。