厚生労働省が2月28日に発表した「人口動態統計」によると、2022年の出生数が過去最少を記録したことがわかりました。2022年の出生数は79万9,728人で、1899年に統計を開始して以来、初めて80万人を切りました。
国内の外国人などを除き、日本在住の日本人に限定すれば77万人前後になると予想されます。政府機関の推計より10年ほど早いペースで少子化が進んでいるとのことで、出生数の低下が続けば、社会保障制度や国家財政の維持が困難になる可能性があります。
なお1949年の出生率は約270万人、1973年は約209万人でした。そこから少しずつ出生数が減少し、2022年には過去最少を記録。一方で、国民の死亡数は前年に比べて12万9,744人増加しており、死亡数の合計は過去最多の158万2,033人でした。
さらに死亡数から出生数を引いた人口の自然減は、78万2,305人と過去最大の減少幅となりました。また国内における人口の減少に伴い、日本の高齢化が加速しています。
出生数の減少に対する主な影響
日本の出生数が減少することは、個人の選択に留まらず、さまざまな観点に影響を及ぼします。大きく影響するのは、労働力の減少による経済力の縮小と、介護難民の急増の2点です。
若い国民が減り労働力が減少することで、経済力の縮小につながります。その結果、国の税収が減少し、年金などの社会保障の維持が難しくなります。
また、人手不足や高齢者の増加が影響して、介護施設に入れない高齢者が増えるなど、介護難民の急増が起こります。現在も超高齢化社会として度々問題にあがっていますが、これからはさらに深刻化すると予想されています。
出生数の減少が起こる主な理由
出生数が減少する主な理由として、子育てをする自信がない、自分の時間が取れなくなるなど、複数の原因が考えられています。しかし、最も大きな要因として、経済力の低下があげられます。
物価や教育費の上昇、賃金の上昇幅などが相まって、子育てに対する負担が思った以上に深刻化しているのです。出生意欲の低下が高まっているなか、教育費の負担軽減が重要であると指摘されています。
また、インターネットやSNSの発展などが影響し、結婚や出産に対する意欲が減少している点もポイントです。若者が結婚・出産したいと思えるような策を打つ必要があると、各所で要望が出されています。
そのための対策として、児童手当の増額や学費の軽減、保育関連の支援拡大など、さまざまな提案があがっています。ネット上では、「人口減少が本格的にヤバい」「対策は明確でしょ」「なぜ政策を打たないのか」などの意見が見られました。