物言う株主から圧力続き、イトーヨーカドーの店舗削減が続く 3年後には93店舗まで縮小

セブンイレブンやイトーヨーカドーなどを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスは9日、新たな合理化策を公表しました。イトーヨーカドーの不採算店舗閉鎖などを表明し、14店舗の削減やアパレル事業からの徹底を決めましたが、「物言う株主」から強い圧力を受ける状況は続きそうです。

イトーヨーカドーは新型コロナウイルス感染症やネット通販の流行により、衣料品部門を中心に業績不振が続いていました。それを受けた「物言う株主」の海外ファンドから、不採算部門の切り離しなどが要求され、イトーヨーカドーの店舗削減を図ろうとしています。

公表によると、3年後を目処にイトーヨーカドーの店舗数を、現在の125店舗から93店舗に削減する方針を決めたとのことです。また、自社開発のアパレル事業からの徹底も発表しました。

一方、セブンイレブンなどのコンビニ事業は好調で、2022年度の売上高は日本の小売業としては初めて10兆円を超える見込みです。今後はコンビニ事業に経営資源を集中させ、店舗の大型化などの新たな戦略を展開する予定です。

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は、9日に行われた記者会見にて「変化する日本の人口動態、消費形態に対して、いままでの業態論ではなく、セブン-イレブンの大型店で必需品を買いそろえていただけるような新しい業態を確立する」とコメントしました。

最盛期に比べてイトーヨーカドーの店舗数は約90店舗減少

イトーヨーカドーの始まりは、1920年(大正9年)までさかのぼります。現イトーヨーカドーの元となる「羊華堂(ようかどう)」が誕生し、1940年(昭和15年)に店舗発展を目指します。

1958年(昭和33年)には「株式会社ヨーカ堂」を設立。その後、初のチェーン店を誕生させ、本格的な店舗拡大を進めていきます。店名を「イトーヨーカ堂」に改名したのは、1968年(昭和43年)のことです。その頃に、新マークの開発・導入を行っています。

そして戦後は高度成長期に急拡大を遂げ、2015年には約180店舗まで増やしました。最盛期を迎えたのは2016年のことで、その頃には全国に182店舗を展開しています。

しかし、その後は業績悪化などを理由に閉店ラッシュが続きます。2019年10月には33店舗の閉店を決定。徐々に店舗削減が進み、2026年2月末までに93店舗まで縮小する方針です。

2016年には全国に182店舗あったので、このまま店舗削減が続けば、最盛期に比べて約90店舗減少することになります。各地でイトーヨーカドーの閉店が起こるなか、「なんだか悲しい」「生まれたときから一緒に過ごしてきた店舗がなくなるのは寂しい」などの声が寄せられています。

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