
国税庁の発表によれば、去年1年間における民間企業に務める従業員の平均給与が458万円に達し、コロナ前の水準を超えて過去最高になったことがわかりました。前年比で2.7%増となり、これは2年連続の増加です。
また、ボーナスの平均も過去最高の72万円となりましたが、その一方で男女間の格差は拡大しています。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業が最も高い平均給与を示し、747万円を記録しました。一方で、宿泊業、飲食サービス業は最も低く、268万円でした。
男女間の給与の差も明らかになり、男性の平均給与は563万円で、女性は314万円です。男女の給与格差は3年連続で拡大しています。
正社員の平均給与は523万円で、非正規の従業員の平均給与は201万円に留まりました。ボーナスも前年より4.2%増の平均72万円を記録し、これも2014年以降で最も高い数値となりました。
国税庁は「コロナ禍からの脱却が考えられる」と、給与増加の一因を述べました。ネット上では、「それでも物価高には追いついていない」「にわかには信じられない」「正規と非正規の差が開きすぎ」などの意見が寄せられています。
「給与が物価の上昇に追いついていない」という意見も
民間企業における去年の平均給与が458万円に達し、これまでで最も高い水準となりました。しかし、「給与が物価の上昇に追いついていない」という意見もあがっています。
Sansan株式会社では、新卒の初任給を改定し、40万円に引き上げるという発表がありました。これにより、新卒の初任給は平均のおよそ2倍となります。同社の人事部長は、「成長水準を上げていくにあたり、人材・採用競争力を上げていくことも必須」と指摘しています。
また、大手牛丼チェーン「すき家」の運営会社も11年連続でベースアップを実施し、さらに2030年まで賃上げを継続することを決めています。運営会社のゼンショーホールディングスは、「個人消費を刺激していかないといけない。安心して使ってください、というような考え方が基本的な根底にある」と述べました。
厚生労働省によると、物価の変動を反映した実質賃金は16ヶ月連続で減少しています。平均給与が上がったとしても、物価の値段上昇に追いついていなければ効果は薄いと言えるでしょう。
そんな中、専門家は豊かさを実感するためには「持続的な賃上げが必要だ」と指摘しています。今後の平均給与と実質賃金に注目したいところです。