自転車の交通違反が増加する中、警察庁は有識者検討会を設置し、「青切符」の導入を視野に入れています。これにより、悪質な自転車違反者に対する反則金の支払いが求められる計画で、年内に内容をまとめ、来年の通常国会での法改正を目指す方針です。
警察庁によれば、自転車全体の事故は減る一方で歩行者との事故は2年連続で増加し、去年は2,905件に達しました。さらに、死亡重傷事故の7割以上で自転車側にも違反があります。全国の警察は取り締まりを強化しており、去年は10年前と比べて3倍以上の摘発があったとのことです。
現行の制度では、自転車の違反は「赤切符」の対象で、手続きに時間がかかり、違反者にも警察にも負担が大きい上、実際に起訴されるのは1〜2%に過ぎません。
そこで検討会は、自転車の違反に対しても「青切符」の導入を検討しています。対象となるのは逆走や信号無視、危険運転などで、年齢については16歳以上が対象となる見込みです。
自転車産業振興会によれば、2021年度の全国の自転車保有台数は推計5,700万台。この背景を受け、検討会は8月末から開催し、年内に提言をまとめる見通しです。
ネット上では、「これは絶対やるべき」「自転車専用道路をもっとしっかり活用するべき」「逆走とか並進とか、違法ってことをそもそも知らない人も多そう」などの意見があがっています。
専門家は「注意喚起の有効な手段に」と語る
自転車の交通ルール遵守に対する取り組みが強化される方向で進展しています。NPO法人「自転車活用推進研究会」の理事長で、警察庁の検討会委員を務める小林成基氏は「現在は交通違反で取締りを受けてもほとんど罰則は適用されず、一部では自転車はルールを守らなくてもよいという風潮があると感じている。『青切符』の導入は、注意喚起の有効な手段になる」と語りました。
さらに小林成基氏は、「取締りにあたる警察官の数は限られているので、軽微な違反と命に関わるような重大な違反をしっかりと区別し、重点的に取り締まる対象を絞り込む必要がある」と指摘し、その上で「取締りの議論だけでなく、複雑すぎるルール自体を見直すことや、自転車がルールを守って快適に走れる道路環境を整備していくことも重要だ」との考えを示しました。
谷国家公安委員長も、「交通事故の件数は減っているが、自転車と歩行者の事故はむしろ増えている。交通ルールを無視する自転車利用者に対して厳しい批判が寄せられていて、交通の安全を確保するためには良好な交通秩序を実現することが重要だ」と述べ、より良い方策が取りまとめられることを期待していると話しました。