富士山における登山者の増加による事故が懸念されています。山梨県は、山頂付近が混雑した場合の登山者規制の方針を明らかにしました。今年、吉田口登山道の6合目を通過した人数は7月30日時点で6万3,000人超で、2019年より約9,300人、およそ17%の増加が確認されています。
長崎幸太郎知事により、登山者の安全確保のため山頂付近での規制を行う方針が発表されました。会見では、「最も多くの登山者が訪れるお盆の時期までには、規制に必要な体制整備を完了したい。世界文化遺産の登録から10年となる富士山に国内外から来る登山者の安全をしっかりと確保していきたい」と方針を述べています。
お盆の時期など、1日の登山者が4,000人以上になることが規制判断の1つの目安となります。また、深夜に山頂への登山道が過密となり危険と判断された場合、県と県警が連携して規制を実施するとのことです。
規制は混雑解消時に解除される予定で、今後お盆に向けての調整が進められる予定です。山梨県の取り組みにより、登山者の安全が一層強化されることが期待されます。
富士登山公式サイトで登山規制について公表
8月9日、富士登山オフィシャルサイトで「富士山吉田ルートの登山規制について(富士山吉田ルート登山情報)」として、登山規制についての内容が公表されました。「山梨県の吉田ルートでは、9月10日(閉山日)までの間、登山道が過度に混雑し、転倒や落石など、登山者の生命の危険が判断される場合には、登山道の混雑緩和のため、必要な箇所において県職員や警察官による一時的な登山の進行の誘導を行う場合があります」とのことで、規制時には県職員や警察官の指示に従うよう記載されています。
また、「規制すると登山できませんか? 山小屋も予約済です」という質問に対しては、「登山道が過度に混雑し、転倒や落石など、登山者の生命の危険が判断される場合に限り、一時的な規制(登山の進行を一時的に止めて頂く等)を行うものです。混雑が緩和次第、規制は解除いたしますので、この規制により、登山自体が出来なくなることはありません」と回答しています。
この回答から分かる通り、登山規制はあくまで一時的なものであり、混雑が収まり次第、規制は解除されて通常通りの登山を楽しめるようになります。なお、今回行われた入山者の混雑緩和のための登山道規制は、全国的に見ても珍しいものだとされています。