月面探査「アルテミス計画」 宇宙船「オリオン」が試験飛行を終えて地球に帰還
米航空宇宙局(NASA)が「アルテミス計画」の第一弾として打ち上げた新型宇宙船「オリオン」が、11日(日本時間で12日)に月周回の試験飛行を終えて地球に帰還しました。オリオンは約25日にわたる飛行を終え、日本時間の12日午前2時40分頃、パラシュートを開いてメキシコ沖の太平洋に着水しました。
着水後は待機していたチームによってカプセルが回収され、今後オリオンが撮影した画像の分析などが実施されるとのことです。
今回の打ち上げは試験飛行のため、宇宙飛行士の代わりにマネキンが乗せられていましたが、次の試験飛行では宇宙飛行士を乗せた状態で行われる予定です。
宇宙飛行士を乗せて月の上空まで往復するアルテミス計画の第二弾は、2024年後半に開始される予定で、2025年には第三弾として宇宙飛行士による月面着陸を目指しています。
NASAが提案している月面探査プログラム「アルテミス計画」
「アルテミス計画」とは、アメリカ合衆国政府内の宇宙開発に関わるNASAが提案している、月面探査プログラム全体をまとめた総称のことです。2025年以降に月面に人類を送り、ゲートウェイ(月周回有人拠点)計画などを通じて、月での人類の持続的な活動を目指しています。
この「アルテミス計画」を実施するにあたり、2020年10月にアメリカ、日本、カナダ、イタリアなど計8カ国がアルテミス合意にサインしました。
今回実施された新型宇宙船オリオンの月周回の試験飛行は、「アルテミス計画」の発端に過ぎず、今後いくつもの月面探査計画が予定されています。そのうちの1つとして、月面や火星に向けた中継基地とした宇宙ステーション建設(ゲートウェイ計画)が、2028年を完成目標として進められています。
とはいえ、NASAが月に人類を戻す計画を進めるにあたっては、着陸装置がないなどの課題が残されており、Twitterの買収で話題の起業家イーロン・マスク氏が着陸装置の開発を進めているため、NASAと米民間企業が共同して計画を遂行することが予定されています。
イーロン・マスク氏は大型の宇宙船「スターシップ」の製造を進めており、数ヶ月以内に地球上空を飛行する予定とのことです。今後予定されているアルテミス3ミッションでは、新型宇宙船オリオンが月でスターシップと合流し、このスターシップを使って宇宙飛行士が月面に行くことになっています。