青森刑務所内で4年ぶりに受刑者向け慰問活動『えんぶり』が開催

青森刑務所内で開催された受刑者向け慰問活動『えんぶり』と観覧する受刑者たち

<目次>

2023年7月26日(水)、青森刑務所内の講堂にて八戸朳(えんぶり)研賛会による『えんぶり』と、演歌歌手・琴けい子さんによる演歌や舞踊が、受刑者向けに慰問活動として実施されました。
新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの開催となりました。
どのような目的で開催され、演者や受刑者はこの催し事に対してどのような想いを抱いているのか、深層に隠れた真相にせまりました。

青森刑務所で受刑者向けに開催される目的とは?

青森刑務所内の受刑者向け慰問活動『えんぶり』を鑑賞する受刑者たち

法務省が主唱する「社会を明るくする運動」の一役を担っている催し事です。
収容されている受刑者・少年の改善更生・社会復帰のため、矯正行政が果たしている役割や日々の教育活動・改善指導を紹介。
出所者等を地域で受け入れていたただくため、矯正行政に理解を深めてもらったり、出所者等の再犯防止に繋げることを目的としています。

「えんぶりという伝統舞踊や、演歌歌手の歌に触れて感性を磨いてもらいたいです。また、えんぶり演者や演歌歌手の方、地域住民の方々も受刑者を応援してくれているんだ、ということを受刑者に感じてほしいです。受刑者は社会から阻害されてきた人が多く、社会へ戻っても期待されていないと感じてしまいます。支えてくれる人や気にかけてくれる人がいることを感じることで、再犯防止のために更生することにつながればと考えています」
と青森刑務所の刑務官は語ります。

新型コロナウイルスの影響もあって、今回は4年ぶりの開催となりました。
50年以上前から、合計10回以上開催されているそうです。
夏に慰問行事はなかなかやらないのですが、八戸朳(えんぶり)研賛会に所属する子供が夏休みなこともあって、この時期の開催となったそうです。
炎天下の中、講堂で開催されたので少しでも快適に過ごせるようにと扇風機を集めて実施していました。

※『えんぶり』とは、​​初春の神事として八戸地方に春を呼ぶ豊年祈願の郷土芸能

『えんぶり』や演歌を熱心に観覧する受刑者

青森刑務所内で開催された受刑者向け慰問活動『えんぶり』を熱心に観覧する受刑者たち

催しが始まる15分ほど前、刑務官の指示の元、受刑者が整列して続々と講堂に集まりました。
綺麗に並べられたパイプ椅子に座る受刑者たち。

しんとした空気の中、刑務官の司会の紹介によって八戸朳(えんぶり)研賛会の方々がステージ上に登壇しました。

えんぶりが始まると受刑者たちは真剣な眼差しで観ていました。
えんぶりを観て実際にどのような感情が芽生えているのでしょうか。

当日は『えんぶり』だけでなく、演歌歌手・琴けい子さんによる歌も披露されました。

演歌歌手の琴けい子さんとその歌を聴く青森刑務所の受刑者たち

琴けい子さんは、デビューして43年になる演歌歌手。
受刑者の更生を願った歌『希望(のぞみ)』を青森刑務所でも披露しました。

『えんぶり』や演歌が終わったあと、刑務官だけでなく受刑者からも拍手が送られていました。

『えんぶり』の演者らはどのような想いで演じているのか?

青森刑務所で『えんぶり』を演舞してインタビューを受ける八戸朳(えんぶり)研賛会に所属する地元の中学生

インタビューを受けたのは、青森刑務所で『えんぶり』を演舞し、八戸朳(えんぶり)研賛会に所属する地元の中学生。

「普段のステージとは違う緊張感を味わうことができました。えんぶりを届けたいという想いで、今まで練習してきたことを堂々と発揮できました。刑務所をまた慰問できたらいいなと思います。えんぶりで想いを伝えることができ、見てる人を明るくすることができるし、伝わっていて楽しんでもらえている印象を受けました。良い経験になりました」

初めて青森刑務所で演舞したという彼女は、2歳からえんぶりをやっている芸歴12年のベテランでした。

八戸朳(えんぶり)研賛会 代表・工藤威美子さん(左)と演歌歌手・琴けい子さん(右)

八戸朳(えんぶり)研賛会 代表・工藤威美子さん(左)、演歌歌手・琴けい子さん(右)

今回は10年ぶりくらいに青森刑務所へ訪問し、過去に4回ほど来ているとのこと。
八戸朳(えんぶり)研賛会と琴けい子さんは、毎回一緒に慰問活動をされています。
全国53箇所の刑務所で慰問活動をされているそうです。

八戸朳(えんぶり)研賛会は、長年にわたって全国の矯正施設において慰問活動を積極的に行っていることが功績となり、令和元年に法務大臣感謝状を受賞しています。

琴けい子さんは、なんと今回の慰問活動で69回目。
「まだまだ頑張ります!受刑者の方に喜んでもらいたい!」と意気込みを語っていました。
出所してからショーに来て感想を教えてくれる方もいるそうで、その声が何より嬉しいとのこと。

青森刑務所の矯正に関する取り組みについて

青森刑務所の所長から感謝状を受け取る八戸朳(えんぶり)研賛会 代表・工藤威美子さん

今回の開催目的は冒頭に記した通り、法務省が主唱する「社会を明るくする運動」の一環として開催されています。ステージで演じた方々には、青森刑務所の所長から感謝状が手渡されました。

受刑者が出所したときにも再犯防止に努めて社会に復帰できるように、青森刑務所では慰問活動を定期的に行っています。このような矯正活動に関する情報が地域住民の方へ届いて理解が少しでも深まり、再犯防止に繋がることを願うばかりです。

青森刑務所に関して
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00019.html

受刑者向け慰問活動を終えて記念撮影をする青森刑務所の所長や刑務官と慰問活動をした人たち

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