花粉症が嫌われる理由は多くの人にとって明白ですが、意外な利点があることが最近の研究で明らかになっています。花粉症やその他のアレルギー症状を持つ人々は、膵臓(すいぞう)がんや大腸がん、食道がん、胃がん、口腔がん、喉頭がん、子宮体がん、脳腫瘍などのリスクが低いとされています。
特に注目すべきは、治療が難しく予後の悪い膵臓がんに対するリスクが顕著に低下するという点です。この驚きの結果は、8つの疫学調査を統合した「メタアナリシス」から得られました。
分析によると、花粉症を持つ人々は膵臓がんの発症リスクが40%も低下すると報告されています。この現象は、花粉症の人々の過剰な免疫反応が免疫監視機構を強化しているためではないかと考えられています。
しかし、花粉症の広がりは無駄な造林政策によって引き起こされた問題でもあります。岸田文雄首相には、この問題に対処し、以前から約束されていた対策を進めることが強く望まれています。
花粉症が起こる仕組み IgE抗体と肥満細胞の結合
花粉症は、花粉に対する過敏な免疫反応によって引き起こされます。具体的には、花粉が体内に侵入すると、それに反応して生成されたIgE抗体が肥満細胞に結合し、再度同じ種類の花粉が体内に入ると抗原抗体反応を起こします。
この反応により、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす仕組みです。
IgE抗体は1966年に、石坂公成氏と照子氏夫妻によって発見されました。もともとこの抗体は、寄生虫が腸に侵入した際に重要な防御機能を果たしていましたが、現代では寄生虫感染が激減しており、行き場を失ったIgE抗体が花粉症を引き起こしているといわれています。
がんに関しては、早期に発見すれば治癒率が高いものの、年齢とともにがん細胞が発生しやすくなり、同時に免疫機能の衰えも見られます。これに対し、花粉症は主に免疫が活発な10代に多く発症し、年を重ねるにつれて症状が軽減する傾向にあります。
これは、花粉症の持つ特有の免疫反応が年齢と共に変化するためです。花粉症のメリットとデメリットの両方を理解し、その上で自身にとって有効な治療と対策を進めていく必要があります。