海上自衛隊の護衛艦をドローンで撮影 「実際に上空から撮影された可能性が高い」と報告
神奈川県横須賀市に停泊中の海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローンで撮影したような動画がSNSで拡散された問題について、防衛省はこの映像がドローンによるものである可能性が高いと分析していることが、8日の取材でわかりました。この件に関して、木原稔防衛相は「悪意を持って加工、捏造された可能性を含め、現在分析中だ」と4月2日の記者会見で述べました。
動画は中国のSNSに投稿され、今では日本でも注目を集めています。横須賀地区では無許可のドローン飛行が厳しく禁じられており、安全上の問題からも大きな懸念が生じています。
ネット上では、「ネットにアップされたデータの真偽を正確に検証する能力が自衛隊にはないことが明らか」「日本はサイバー自衛隊をいち早く創設してほしい」「天気の良い日中、何故に誰も異変に気付かなかったのだろうか」などの意見が寄せられています。
自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議で分析結果を報告
問題の動画について、9日に自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議で報告されました。防衛省は、動画は捏造されたものではなく、「実際に上空から撮影された可能性が高い」と分析結果を発表しました。
防衛省はこの問題を非常に深刻に捉えており、「ドローンで危害が加えられた場合、防衛に重大な支障が生じかねない」とコメントし、違法行為への厳正な対処と対処能力の高い装備品の早期導入を強調しています。
問題の動画は、神奈川県の横須賀基地で停泊中の「いずも」を後方から接近し、甲板上を飛行しながら撮影したもので、3月26日に中国の動画共有サイト「bilibili」に投稿されました。その後、X(旧Twitter)に転載され、日本でも広く拡散されました。
防衛省は動画が悪意を持って加工・捏造された可能性も含めて分析を行った結果、艦番号の一部が見えない点を除き、違法に撮影された可能性が高いと判断しました。防衛省は飛行の検知については明らかにせず、「対処はしていない」と説明しています。撮影者やその意図については言及していません。
国防部会・安全保障調査会合同会議に参加した議員からは「非常にゆゆしき事態であり、あってはならない」との声が上がり、調査と対応の遅れに対する批判が相次ぎました。防衛省は今後、同様の事件の未然防止と迅速な対応策の強化が求められています。